プリンターシリーズ
プリンターの1枚あたりの価格という印刷コストの表示は、キヤノン・エプソン・ブラザー・HP(日本HP)の4社とも、価格の基準日や測定条件がそろっていません。この記事は、4社の公式ページに書かれている条件をそのまま並べ、比べるときに気をつけることをまとめる回です。当サイトはこれらの機種の実機を購入・使用しておらず、印刷も行っていません。確認日は2026年9月27日です。
まず確認:4社の基準日と測定条件は違う
エプソン・キヤノン・ブラザーの3社は「JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)」のガイドラインを踏まえていて、HPの注記はISO/IECの規格だけを挙げています。4社で、価格の基準日と参照している規格の版が異なります。この記事では、会社をまたいで1枚あたりの価格の数字を横に並べて、どこが安いとは書きません。比べるときは、必ず同じ会社の中で、同じ基準日どうしを見比べてください。
| 会社 | 準拠(公式の文言) | 消耗品価格の基準 |
|---|---|---|
| エプソン | JEITAガイドライン・ISO/IEC24711/24712(文書) | 2026年7月1日時点のエプソンダイレクトショップ掲載価格 |
| キヤノン | JEITAガイドライン(ギガタンクの注記には無し) | 機種ごと「参考値(2026年9月現在)」または「(2025年10月現在)」 |
| ブラザー | JEITAガイドライン第2版 | 2025年9月1日付のブラザーダイレクトクラブ掲載価格 |
| HP | Smart Tankは「ISO/IEC24711テストプロセスに準拠していません」 | 2025年11月現在(同ページ内に2023年11月現在の表記も混在) |
エプソン:2026年7月1日の値上げ後の価格が基準
エプソンの印刷コスト算出条件のページには「印刷コスト算出条件はJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)作成発行の「家庭用IJ プリンターの印刷コスト表示に関するガイドライン」に準拠。」とあり、「(注)印刷コスト算出条件は上記条件にて算出したイールド枚数と消耗品2026年7月1日時点のエプソンダイレクトショップ掲載価格(税込)をもとに算出。」と続きます。エプソンは2026年7月1日納品分からホームプリンター向けなどの消耗品417商品の価格を改定しており、この記事で公式が示すコストの数字は、値上げ後の価格が前提です。
キヤノン:機種ごとに基準日が違い、XK140だけ2025年10月現在
キヤノンの各機種の仕様ページには、XK140の場合「上記の印刷コストは、「家庭用インクジェットプリンターの印刷コスト表示に関するガイドライン」〈社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)制定〉に従って表記を行っています。すべて当社測定環境下における参考値(2025年10月現在)であり、あくまでも目安となる数値です。」という注記があります。基準日は機種ごとに「参考値(2026年9月現在)」とされていますが、XK140だけは「(2025年10月現在)」です。同じキヤノンの中でも、機種によって基準日が違う点に注意が必要です。
ブラザー:2025年9月1日基準、2026年10月に約5〜10%の改定予定
ブラザーの印刷コストの条件ページには「コスト計算につきましては、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)作成発行の「家庭用インクジェットの印刷コスト表示に関するガイドライン第2版」に準拠して算出しています。」「※ランニングコスト算出にあたりインクカートリッジ及び専用紙の価格は2025年9月1日付のオンラインショップ「ブラザーダイレクトクラブ」の掲載価格(税込)を参考としました。」とあります。同じページには「※プリビオは印刷品質維持安定のため、オートクリーニング機構により電源投入中(本製品の電源プラグをコンセントに差したままの状態)及び印刷中に定期的にインク各色の強制吐出を行い消費します。」という注記もあります。ブラザーの公式ニュースには、「価格改定日」が2026年10月1日(木)、対象商品に「インクジェットプリンター用インクカートリッジ : 106品目 出荷価格改定」、「価格改定率」が約5%~10%とあり、この記事で扱った基準日の価格は、この改定より前のものです。
HP:Smart TankはISO/IEC24711に準拠していないと明記
HPのSmart Tankのコスト注記には「印刷コスト算出については、ISO/IEC24712テストページを用いてHP独自に算出した値です。ISO/IEC24711テストプロセスに準拠していません。初回セットアップ時に使用したインクボトルではなく、2回目以降に使用した交換用インクボトルで算出しています。2025年11月現在におけるインクカートリッジHP希望販売価格(税込)を使用して算出、用紙コストは含んでいません。」とあります。同じページの下部にある比較ブロックには「2023年11月現在」という別の基準日も出てきます。Envyのコスト注記は「印刷コストはISO/IEC 24711(測定方法)、ISO/IEC 24712(測定画像)に準拠し、2024年11月現在におけるインクカートリッジのHP希望販売価格(税込)を使用して算出。用紙コストは含んでいません。」と、Smart Tankとは条件が異なります。HPはL判写真のコストを公式に公表していません。
純正以外のインクについて、各社の言葉をそのまま引く
純正以外のインクを使ったときの扱いは、当サイトが判定するものではありません。ここでは4社の原文を、打ち消しの一文も含めてそのまま引きます。
キヤノン「キヤノン製以外のインクタンク/インクカートリッジ(穴を開けるなどによりインクを再補充したものを含みます)をご使用になると、プリンター本体への悪影響やプリント品質の低下などプリンター本来の性能を発揮できない場合があります。また、安全上問題はありませんが、まれに、キヤノン純正品にないインク成分によると見られるプリントヘッド部分の発熱・発煙事例も報告されています(すべてのキヤノン製以外のインクについて当該事例が報告されているものではありません)。キヤノン製以外のインクタンク/インクカートリッジのご使用に起因する不具合への対応については、保守契約期間内または保証期間内であっても有償となります。」
エプソン「エプソン製品以外のインクカートリッジ、メンテナンスボックスのご使用は、プリンター本体や印刷品質に悪影響を及ぼしたり、プリンター本体の性能を発揮できない場合があります。」「エプソン製品以外の全てのインクカートリッジ、メンテナンスボックスからインクが漏れるわけではありません。」
ブラザー「ブラザー純正品以外の消耗品(トナーカートリッジ・インクカートリッジ等。詰替え商品含む。)を使用したことによる故障は、保証期間内や保守契約期間中でも有償修理となりますのでご注意ください。(純正品以外の全ての消耗品が必ず不具合を起こすと断定しているわけではありません。)」
HP「非純正インクをご利用されたプリンターで、インクに起因する問題が発生した場合プリンターサポートの『無償保証対象外』になります。」「① 非純正インクカートリッジ利用時のインクに起因する不具合・故障対応は有償となりますのでご了承ください。」「非純正インクカートリッジを設置した際、インクが認識されず動かなくなる可能性があります。」HPの文には、他の3社にあるような、非純正品のすべてに不具合が起きるわけではないという趣旨の打ち消しの一文が見当たりませんでした。
デメリット・向いていない人
1枚あたりの価格の数字だけを見て会社をまたいで機種を選ぶと、基準日や測定条件の違いを見落とす可能性があります。純正以外のインクを使う場合、4社とも保証期間内でも修理が有償になる場合があるとしています。ブラザーは2026年10月1日にインクの価格改定を予定しており(エプソンは2026年7月1日に改定済み)、いま公式に出ている数字がそのまま将来も続くとは限りません。
買わなくてよい人
印刷量が少なく、コストの数円単位の差を気にしない場合は、この記事で挙げた基準日の違いをそこまで気にする必要はありません。純正以外のインクのリスクを許容できない場合は、各社の純正インクを選ぶと、保証の扱いで迷わずにすみます。
まとめ
プリンターの1枚あたりの価格は、エプソンが2026年7月1日、キヤノンが2026年9月現在(XK140だけ2025年10月現在)、ブラザーが2025年9月1日、HPのSmart Tankが2025年11月現在(同ページ内に2023年11月現在の表記も混在)と、4社で基準日がそろっていません。比べるときは、同じ会社の中で、同じ基準日どうしを見ることをおすすめします。純正以外のインクについても、当サイトは判定せず、各社の原文をそのまま引用しました。この記事の内容は、実機を使った比較ではなく、公式情報から当サイトが整理したものです。
出典
エプソン 印刷コスト算出条件 https://www.epson.jp/products/printer/sokutei.htm ・価格改定ニュース https://www.epson.jp/osirase/2026/260511.htm ・修理サービス規約 https://www.epson.jp/support/shuri/tyui/ ・不具合事例 https://www.epson.jp/support/shuri/tyui/ink.htm (2026年9月27日確認)
キヤノン XK140仕様 https://personal.canon.jp/product/printer/pixus/lineup/xk140/spec ・XK140消耗品ページ https://personal.canon.jp/product/printer/pixus/lineup/xk140/supply ・純正インクの注意 https://personal.canon.jp/product/printer/pixus/branding/room/genuine (2026年9月27日確認)
ブラザー 印刷コストの条件 https://www.brother.co.jp/product/printer/inkjet/running_cost_16/index.aspx ・価格改定ニュース https://www.brother.co.jp/news/2026/kakakukaitei/index.aspx ・純正品以外の注意 https://www.brother.co.jp/product/original/index.aspx (2026年9月27日確認)
日本HP 一覧 https://jp.ext.hp.com/printers/personal/inkjet/ ・Smart Tank 5105 https://jp.ext.hp.com/printers/personal/inkjet/smart-tank5105/ ・Envy 6120 https://jp.ext.hp.com/printers/personal/inkjet/envy6120/ ・非純正インクの注意 https://jp.ext.hp.com/supply/inkjet/reason/ (2026年9月27日確認)


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