テスコムの仕様表を開くと、TDX400Aという1台の機種に「0.8m³/分」と「2.6m³/分」という2つの風量の数字が並んでいます。差は3倍以上ですが、機種が違うわけではありません。測り方が違うだけです。ドライヤーの風量・風速の表記を6社ぶん公式ページで突き合わせると(2026年9月18日確認)、IEC規格・JIS規格(またはJIS C 9613に基づく測定)・自社の測定という3通りの測り方が混在し、単位も㎥/分とm/秒の2種類に分かれていました。
ドライヤーシリーズ(全8本)/この記事は6本目です
- ドライヤーはメーカーで何が違う?主要6社の「看板機能」まるごと比較
- パナソニックのドライヤーの機能
- シャープのドライヤーの機能
- リファのドライヤーの機能
- ナノイー・プラズマクラスター・ハイドロイオン…全部なに?イオンの名前「翻訳表」
- この記事:ドライヤーの風量「m³/分」は比べられない——単位も測定規格も各社バラバラだった
- 上位モデルと普及帯・中位モデルの段ごとに、どのメーカーかを言い切る
- ドライヤーの新製品【2026年秋】テスコム3機種・リファ2機種の発売日と、公式が比べた従来機種との違い
先に3行で
- 入口記事が収録した6社13機種のうち、風量・風速の数値を確認できたのは10機種です。測り方の内訳は、IEC規格(シャープ2機種)・JIS規格またはJIS C 9613に基づく測定(パナソニック3機種・コイズミの風速1機種・テスコムTDX400Aの数値の一部=風量0.8m³/分と風速46.5m/s)・自社測定(サロニア2機種・コイズミの風量1機種・テスコムTDX400Aの数値の一部=風量2.6m³/分)です。
- 同じ1台の機種に、JIS基準と自社基準の2つの数字が並ぶ例が2社にあります。テスコムTDX400A(風量0.8m³/分と2.6m³/分。このほか風速46.5m/s〈JIS規格測定法・TURBO使用時〉の表記もあります)と、パナソニックEH-NE7N(吹出口1.6m³/分と「髪に届く風」3.3m³/分)です。
- 数字の大小は、乾く速さの順位ではありません。当サイトはどのドライヤーも使用しておらず、乾き方は測っていません。
まず1枚で確認:各社の風量・風速の表記と測り方
下の表は、入口記事「ドライヤーはメーカーで何が違う?」が収録した6社13機種について、公式の仕様ページに載っている風量・風速の数値と、測定方法の注記を並べたものです(確認日2026年9月18日)。
| メーカー | 型番・製品名 | 表記(数値・単位) | 規格・測定方法 | 条件(モード/ノズル/測定位置) |
|---|---|---|---|---|
| パナソニック | EH-NC80 | 0.8㎥/分(風量【強】時) | JIS C 9613に基づく(比較表の注記) | 吹出口・ノズル装着なしの時 |
| パナソニック | EH-NA0K | 1.6㎥/分(風量【強】時) | JIS C 9613に基づく(比較表の注記) | 吹出口・ノズル装着なしの時 |
| パナソニック | EH-NE9N | 0.8㎥/分(強風時) | JIS C 9613に基づく(比較表の見出しの注記) | 吹出口。このセルには「ノズル装着なしの時」の注記がありません |
| シャープ | IB-WX902 | 約7.4m³/分(TURBO運転時) | IEC規格にて測定 | TURBO運転時 |
| シャープ | IB-P802 | 約5.1m³/分(TURBO運転時) | IEC規格にて測定 | TURBO運転時 |
| リファ | BX W | 当サイトが開いた製品ページに記載が見つかりませんでした | ― | 「風量を3段階から選ぶことができ」とだけ公式に記載 |
| リファ | SMART W | 当サイトが開いた製品ページに記載が見つかりませんでした | ― | ― |
| サロニア | SL-013 | 2.3㎥/min(TURBO時) | 自社測定による | TURBO時 |
| サロニア | スムースシャインドライヤー | 約2.4㎥/min(風強時) | 自社測定による | 風強時・ノズルなし |
| コイズミ | KHD-W995 | 約46m/s(風速。時速換算約166km/h) | JIS C 9613に基づく(ノズル使用時) | 集風器なし |
| コイズミ | KHD-W795 | 2.4㎥/分 | 当社測定方法による | ノズル無しの時 |
| テスコム | TDX400A | 0.8m³/分(JIS規格)/2.6m³/分(自社基準)/46.5m/s(風速) | 風量欄はJIS規格・自社基準を併記。風速はJIS規格測定法による | 風量は仕様表の「風量(㎥/分)」欄。風速46.5m/sはTURBO使用時 |
| テスコム | NIB400B | 当サイトが開いた製品ページに記載が見つかりませんでした | ― | ― |
まとめると:13機種のうち風量・風速の数値を確認できたのは10機種で、単位は㎥/分とm/秒の2種類、規格・測定方法はIEC規格・JIS(またはJIS C 9613に基づく測定)・自社測定の3通りです。「記載が見つかりませんでした」は、当サイトが開いたページに記載が無かったという意味で、その機種に風量が存在しないという意味ではありません。コイズミKHD-W995は、公式の製品説明にある条件の注記「ノズル使用時」と、仕様表の条件「集風器なし」とで、条件の書き方が異なります(結論編でも同じ食い違いを記載しています)。
同じ会社・同じ機種でも、測り方が2つ並ぶ例があります

テスコムのTDX400Aは、仕様表の「風量(㎥/分)」欄そのものに「0.8m3/分(JIS規格)、2.6m3/分(自社基準)」と、当サイトが実際に開いたページで2つの数値が並んでいるのを確認しました(テスコム公式・確認日2026年9月18日)。同じ1台の風量を、規格に沿った測り方と自社の測り方の両方で書いている仕様表です。
同じ現象は、パナソニックの普及帯モデルEH-NE7Nの製品ページにもあります。「大風量が髪に届く」というイラストには、髪に届く風3.3m³/分(自社基準)と吹出口風量1.6m³/分(JIS基準)が並んでいます。ページ下部の注記は「※3 ドライヤーの吹出口から10 cmの距離における風量(測定方法は自社基準)」「※4 ドライヤーの吹出口における風量(測定方法は、JIS C 9613に基づく)」です(パナソニック公式・確認日2026年9月18日)。測る場所(吹出口か、そこから10cm離れた場所か)と測り方(JIS基準か自社基準か)の両方が違うと、同じ1台でも数字が変わります。
まとめると:1つの機種が2つの風量の数字を持つのは珍しいことではありません。仕様表に複数の数字があるときは、どちらの条件の数字かを確認しないと、別機種の数字と比べる以上に読み違えます。
「数字が大きい=速く乾く」とは言えない理由

パナソニックの比較表では、EH-NC80が0.8㎥/分(風量【強】時)、EH-NA0Kが1.6㎥/分(風量【強】時)です。どちらも比較表の注記「※6 ドライヤーの吹出口における風量(測定方法は、JIS C 9613に基づく)」「※7 ノズル装着なしの時」が付いた、同じ測り方の数字です(パナソニック公式・確認日2026年9月18日)。比較表の特長欄では、EH-NC80は「ナノケア最上位*1モデル」、EH-NA0Kは「ナノケアのコンパクトモデル」と説明されています(当サイトの呼び方でいう最上位・中上位にあたります)。同じ測り方で比べても、EH-NC80のほうがEH-NA0Kより小さい数字になっています。
風量の数字だけでは、どちらが速く乾くかも、どちらが上の機種かも判断することはできません。当サイトはどのドライヤーも購入・使用しておらず、乾き方や仕上がりの速さは確かめていません。「風量◯㎥/分あれば速乾」といった目安を見かけることがありますが、その基準がどの規格にもとづくのか分からない限り、数字だけで判断しないほうが安全です。
買い物で見るときの3点確認

店頭や通販サイトで風量の数字を見るときは、次の3点を確認すると読み違いを防げます。
- ①単位を見る。㎥/分(風量)とm/秒(風速)は別の単位です。同じ数字でも意味が違います。
- ②規格・測定方法を見る。「IEC規格」「JIS規格」「JIS C 9613に基づく」「自社測定」「当社測定方法」のどれかが書かれているかを確認します。書かれていなければ、その数字がどの条件で測られたかは分かりません。
- ③条件(モード・ノズル・測定位置)を見る。前章のEH-NE7Nは、測る位置と測り方(JIS基準か自社基準か)が違うと数字が変わる例でした。仕様表の数字に「TURBO時」「ノズル装着なしの時」といった条件が添えられているのは、その条件で測った数字だからです。
まとめると:3点がすべて同じ条件でそろっている数字どうしでなければ、大小を比べても意味を持ちません。会社をまたいで3点がそろう組み合わせはありませんでしたが、同じ会社の中では、パナソニックのEH-NC80とEH-NA0K、シャープのIB-WX902とIB-P802のように3点がそろう組もあります。
風量の数字だけで選ぶと外す人

次のどれかに当てはまる方は、いったん立ち止まることをおすすめします。
- 「数字が大きいほうが速く乾く」と考えて機種を絞ろうとしている人。前章のとおり、同じ会社の中でも上位モデルより中上位モデルのほうが数字が大きい例があります。
- ㎥/分とm/秒を同じ物差しで比べようとしている人。単位が違うため、数字だけを見比べても大小の意味がありません。
- 仕様表に規格名が書かれていない機種の数字を、規格つきの数字と並べて比べようとしている人。リファの2機種・テスコムNIB400Bのように、当サイトが開いた公式の製品ページに風量の数値が見つからない機種もあります。
型番を決めて選びたい方は、当サイトが公式の数値だけで段ごとに言い切った結論編「上位モデルと普及帯・中位モデルの段ごとに、どのメーカーかを言い切る」をご覧ください。この記事で扱った風量・風速の数字は、結論編の推薦の根拠には使っていません。
よくある質問
Q. 結局、どのメーカーの風量がいちばん強いのですか?
A. 当サイトは決めていません。単位(㎥/分・m/秒)と規格・測定方法(IEC・JIS・自社測定)がそろっていないため、10機種の数値を横並びで順位づけできません。
Q. JIS C 9613とは何の規格ですか?
A. パナソニック・コイズミ・テスコム(TDX400Aの風量0.8m³/分と風速46.5m/s)の公式ページに「JIS C 9613に基づく」「JIS規格測定法による」という表記があることを確認していますが、規格書そのものは当サイトでは確認できていません。規格の中身については各社の表記をそのまま書いています。
Q. 同じ製品ページに、測り方の違う2つの風量の数字があるのは、テスコムだけですか?
A. 当サイトが確認した範囲では、テスコムTDX400Aとパナソニック EH-NE7N の2機種で、JIS基準と自社基準という測り方の違う2つの数値が同じ製品ページに並んでいるのを確認しました。パナソニックの比較表にはこのほかEH-NA9FとEH-NE4Bにも2つの数値がありますが、これは電源電圧(AC100/200VとAC120/240V)による違いで、測り方の違いではありません。
Q. 風量の数字が見つからなかった機種は、性能が低いのですか?
A. 分かりません。「記載が見つかりませんでした」は、当サイトが開いたページに記載が無かったという意味で、性能が低いという意味ではありません。
まとめ
- 風量・風速の数字は、単位(㎥/分・m/秒)と規格・測定方法(IEC規格・JIS規格またはJIS C 9613に基づく測定・自社測定)がバラバラで、会社をまたいだ大小比較はできません。13機種中、数値を確認できたのは10機種でした。
- 同じ1台の機種に、JIS基準と自社基準の2つの数字が並ぶ例が2社にあります(テスコムTDX400A、パナソニックEH-NE7N)。
- パナソニックのEH-NC80(0.8㎥/分)とEH-NA0K(1.6㎥/分)のように、同じ測り方でも数字の大小と機種の位置づけが逆転する例があります。風量の数字だけでは、どちらが速く乾くかは判断できません。
今日やることは1つだけ。今使っているドライヤーの仕様表(箱や取扱説明書)を開いて、風量の数字の横に規格名が書かれているかを確認してください。書かれていなければ、その数字は他の機種とは比べられない数字だったということです。
注記:確認できなかったこと・数字の条件
- JIS C 9613の規格書そのものは、当サイトでは確認できていません。本文の規格名は、各社の公式ページに書かれている表記をそのまま使っています。
- パナソニックの比較表の風量欄は、見出しに「※6」(JIS C 9613に基づく測定)の注記が付いていますが、「※7」(ノズル装着なしの時)はセルごとに付く場合と付かない場合があります。EH-NE9Nのセルには※7がありません。
- 「記載が見つかりませんでした」は、当サイトが開いたページに記載が無かったという意味で、その仕様が存在しないという意味ではありません。購入前に、最新の公式ページと取扱説明書でご確認ください。
- 当サイトはこれらのドライヤーを購入・使用しておらず、乾き方や仕上がりの速さの評価は行っていません。
出典(すべて2026年9月18日に当サイトが開いて確認)
- パナソニック:ヘアケアの比較表(風量欄・注記※6※7、EH-NC80/EH-NA0K/EH-NE9Nの特長欄)/EH-NE7N 製品ページ(髪に届く風・吹出口風量の2数値、注記※3※4)
- シャープ:IB-WX902 仕様/寸法(風量・IEC規格)/IB-P802 仕様/寸法(風量・IEC規格)
- リファ(MTG):ReFa BEAUTECH DRYER BX W(風量3段階の記載)/ReFa BEAUTECH DRYER SMART W(風量の数値は見つかりませんでした)
- サロニア:スピーディーイオンドライヤー(SL-013・自社測定)/スムースシャインドライヤー(自社測定)
- コイズミ:KHD-W995(風速・JIS C 9613)/KHD-W795(当社測定方法)
- テスコム:TDX400A(風量:JIS規格・自社基準の併記/風速46.5m/s:JIS規格測定法)/NIB400B(風量の数値は見つかりませんでした)
数値・引用文は、上記のページを当サイトが実際に開いて確認したものです。引用は原文どおりです。当サイトはこれらのドライヤーを購入・使用しておらず、乾き方や仕上がりの評価は行っていません。


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