IHの「W」とガスの「kW」の読み方:どちらも「鍋に届いた熱」ではない【卓上IH・カセットこんろ】

IHの「W」とガスの「kW」の読み方のアイキャッチ 卓上IH・カセットコンロ

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卓上IHの製品ページには「1400W」、カセットこんろの製品ページには「3.4kW」というように、単位の違う数字が並んでいて、どちらが火力として強いのか比べようがない、と感じたことはないだろうか。当サイトは2026年9月26日にイワタニ・パナソニック・山善・マクスゼンの公式ページと取扱説明書を確認し、「W」と「kW」がそれぞれ何を測った数字なのかを、公式の表記だけで整理した。結論を先に言うと、この2つの数字を並べて火力の強弱を決めることはできない。

先に3行で

  • カセットこんろの「kW」は、気温20〜25℃のとき1時間にどれだけガスを使うかを、熱の量で言い換えた数字です。イワタニの取扱説明書は達人スリムVの仕様を「出力(ガス消費量)」「3.4 kW (2,900 kcal/h相当、約245 g/h)〈気温20~25 ℃〉」と書いています
  • 卓上IHの「W」は、コンセントから使う電気の量です。表記は会社ごとに違います。パナソニックは「消費電力」「75W相当~1400W」、山善は「消費電力」「1400W(±10%)」、マクスゼンは「定格消費電力」「1000W」と書いており、最大の数字だけで比べると見落としが出ます
  • どちらの数字も「鍋に実際に届いた熱」ではないため、WとkWを並べて火力の強弱を決めることはできません。選ぶときは「使える鍋」「ボンベ1本で何分か/コンセント(15Aを単独で)が取れるか」のように、使う場面の条件で見ます
卓上IHの「W」は会社ごとに表記が違う消費電力(コンセントから使う電気の量)、カセットこんろの「kW」は気温20〜25℃のガス消費量を熱の量で言い換えた数字であり、どちらも鍋に届いた熱ではないため、選ぶなら使える鍋・ボンベ1本で何分か・コンセントの条件で見るべきことを示す図
卓上IHの「W」とカセットこんろの「kW」は、測っているものが違います(出典:各社公式仕様・確認日2026年9月26日)

この記事の範囲と出典

この記事は、卓上IHとカセットこんろの製品ページに出てくる「W」「kW」という単位そのものの読み方だけを扱う。どちらの機種を選ぶべきかの結論は「カセットコンロと卓上IHの段ごとに、第1の1台を言い切る」で示しており、この記事はその推薦を変えるものではない。数字はすべて2026年9月26日にイワタニ・パナソニック・山善・マクスゼンの公式ページ・取扱説明書PDFで確認したもので、価格や熱効率(IH・ガスそれぞれの変換効率の割合)は今回の調査の対象外のため書いていない。

ガス側:「kW」は気温20〜25℃のガス消費量を熱の量で言い換えた数字

イワタニの製品ページ・取扱説明書に出てくる「kW」の表記を、そのまま並べると次のとおりである。

出典 書いてあること(表記どおり)
達人スリムV(CB-TS-5)取扱説明書「主な仕様」 「出力(ガス消費量)」=「3.4 kW (2,900 kcal/h相当、約245 g/h)〈気温20~25 ℃〉」/連続燃焼時間「約68分〈最大火力で新品容器(ボンベ)をすべて使用したときの実測値。気温20~25 ℃〉」
達人スリムV 製品ページ 「最大発熱量」3.4kW(2,900kcal/h)=製品ページは「最大発熱量」、取扱説明書は「出力(ガス消費量)」と呼び名が違う
炙りの匠(CB-ABT-1)ニュースリリース(2026年9月11日) 「発熱量・ガス消費量」=「約2.3kW (約2,000kcal/h)・約169g/h」、注記「気温20~25℃の時、30分間のガス消費量を1時間換算したもの」
スリム(CB-SL-1)・スマート(CB-SMT-1)・ミニ(CB-JRC-MN)の製品ページ 最大発熱量の数字に「気温20~25℃のとき、30分間のガス消費量を1時間に換算したもの」という同じ注記が付く。スリム3.3kW(2,800kcal/h)・スマート3.5kW(3,000kcal/h)・ミニ1.86kW(1,600kcal/h)

まとめると、「kW」は気温20〜25℃で、1時間あたりどれだけガスを使うかを熱の量で言い表したものである。結論編の注記のとおり、気温の低い屋外などでは、この値と同じになるとは限らない。またイワタニのスマート製品ページには「カセットボンベを使用する器具は、時間とともに火力が低下する性質があります。これは燃焼によりボンベの温度が低下し、ガスの気化が悪化してしまうからです。」という記載もある。ボンベが冷えると気化が悪くなり火力が落ちる仕組みは「イワタニのカセットこんろの機能」で詳しく扱っている。

IH側:「W」の表記は会社ごとに違う

卓上IHの「消費電力」の表記も、会社によって呼び名や付け方が違う。

会社・型番 表記(公式どおり)
パナソニック KZ-PH34 「消費電力」「75W相当~1400W」/「1000Wセーブモード」=「最大1400Wから1000Wに切り替えることができるので、食事中にブレーカーが落ちる心配を減らせます。」
山善 YEU-S140 「消費電力」「1400W(±10%)」「加熱」「約300W~1400W」
山善 YEA-140 「消費電力:1400W(±10%)」「加熱:300W~1400W」だが、火力調節は「5段階(300W/600W/900W/1100W/1300W)」で、急速加熱モードだけ3分間1400Wになる
マクスゼン MIHS-TI100 「定格消費電力」「1000W」/加熱モード「5段階(火力)(約)200・400・600・800・1000W」

この表からも分かるとおり、「消費電力」「定格消費電力」という呼び名の違いに加え、「±10%」「相当」といった付き方の違いがある。さらに山善YEA-140のように、仕様欄の消費電力(1400W)と、実際に選べる火力の段の最大(1300W)が一致しない型番もある。カタログの最大値だけを見て比べると、実際に使える火力の段を見落とすことになる。

コンセントとブレーカー——公式の注意

卓上IHはコンセントから電気を引くため、公式は使用するコンセントについても注意を出している。山善YEN-S140・EER-S100の取扱説明書は「交流100V・定格15A以上のコンセントを単独で使用する」「他の機器と併用すると、発熱による火災の原因になります。」としている。YEU-S140の取扱説明書の「故障かな?」の表にも、中弱ランプ点滅と電子音の原因として「低電圧のエラーです。タコ足配線をしていませんか。」「15A以上のコンセントを単独で使っていますか。」という案内がある。パナソニックのKZ-PH34は、最大1400Wから1000Wへ切り替える「1000Wセーブモード」を用意しており、この設定は電源プラグを抜いても記憶されると製品ページに書かれている。カセットこんろ側にも、IHの上でカセットこんろやボンベを使ったり置いたりしないという置き場所の注意があるが、これは結論編・カセットボンベの記事で扱い済みのため、この記事では繰り返さない。

「何分使えるか」の数字も、意味が違う

「W」「kW」のほかに、製品ページには「何分使えるか」に関わる数字も載っている。ただしこれも、ガスとIHで意味が違う。

種類・型番 連続で使える目安 出典・条件
達人スリムV(CB-TS-5) 約68分 取扱説明書「最大火力で新品容器(ボンベ)をすべて使用したときの実測値。気温20~25 ℃」
タフまる(CB-ODX-1) 約75分 製品ページ(気温20〜25℃・強火連続の条件)
スリム(CB-SL-1) 約70分 製品ページ(同上の条件)
パナソニック KZ-PH34 加熱・煮込みは2時間、揚げ物は1時間以上経過すると自動的に通電停止 仕様ページ「最後のボタン操作から」の経過時間
山善 YEU-S140 120分(揚げ物60分) 取扱説明書の切り忘れ防止機能
マクスゼン MIHS-TI100 オートオフ2時間 製品ページ

カセットこんろはボンベ1本で使える時間の目安(気温20〜25℃)、卓上IHは消し忘れを防ぐための自動停止で、パナソニックKZ-PH34は「最後のボタン操作から」数える。IHはコンセントがあれば、途中でボタンを操作すれば使い続けられる。

「1400Wと3.4kW、どっちが強い?」——よくある疑問の整理

ここまでの内容を、読者が実際に迷う場面に当てはめると次のようになる。

  • 「1400Wと3.4kW、どっちが火力が強い?」→ そもそも測っているものが違う(電気の消費量と、気温20〜25℃でのガス消費量を熱で言い換えた数字)ため、この2つの数字だけでは決められない
  • 「1400Wの卓上IHを使っていたらブレーカーが落ちた」→ 15Aのコンセントを単独で使っているか、パナソニックなら1000Wセーブへの切り替えができないかを確認する(前述「コンセントとブレーカー」)
  • 「冬の屋外で使ったらカセットこんろの火が弱く感じた」→ 公式の「kW」の数字は気温20〜25℃が前提であり、屋外の低い気温では同じ数字にならないことが連続燃焼時間の注記からも読み取れる

この軸で選ぶと向かない人・数字だけで比べると誤る場面

  • 「W」と「kW」の数字だけでカセットこんろと卓上IHの火力を比べたい人。片方は電気の消費量、片方は気温20〜25℃を前提にしたガス消費量の言い換えで、測っているものが違うため単純比較ができません
  • 卓上IHの「消費電力」の最大値だけを見て機種を選びたい人。山善YEA-140のように、仕様欄の消費電力(1400W)と実際に選べる火力の段の最大(1300W)が一致しない型番があります
  • 冬の屋外や寒い場所でカセットこんろを使う予定の人。公式の「kW」「連続燃焼時間」の数字は気温20〜25℃のときの値です
  • 電気代・ボンベ代の実額を知りたい人。ランニングコストの計算式は「鍋の卓上コンロ、カセットとIHどっち?」の「ランニングコストの考え方」の章で示しており、この記事では価格・単価には触れていません

結論編との接続

結論編「カセットコンロと卓上IHの段ごとに、第1の1台を言い切る」は、カセットこんろの段でイワタニ達人スリムV(CB-TS-5)を第1、タフまる(CB-ODX-1)を第2に、卓上IHの段でパナソニックKZ-PH34を第1、山善YEU-S140を第2に挙げている。この記事は単位の読み方だけを扱うもので、この推薦の順位を変えるものではない。

よくある質問

Q. 卓上IHの「W」とカセットこんろの「kW」、結局どちらが火力が強いのですか?
A. この2つの数字だけでは決められません。「W」はコンセントから使う電気の量、「kW」は気温20〜25℃のときのガス消費量を熱の量で言い換えた数字で、測っているものが違います。

Q. WとkWは何が違うのですか?
A. 「W」はコンセントから使う電気の量、「kW」は気温20〜25℃を前提にしたガス消費量を熱の量で言い換えた数字です。イワタニの取扱説明書は「kW」を「出力(ガス消費量)」と表記しています。ガス消費量を熱の量で表した数字であり、単位も測定条件も違うため、単純に比べることはできません。

Q. 1kW=860kcal/hで、公式のkcal/h表記を計算し直してもいいですか?
A. この記事ではしていません。公式が併記しているkcal/hの数字をそのまま使い、自分で換算し直した数字は書いていません。

まとめ

  • カセットこんろの「kW」は、気温20〜25℃のとき1時間にどれだけガスを使うかを熱の量で言い換えた数字です。イワタニの取扱説明書は「出力(ガス消費量)」と表記しています
  • 卓上IHの「W」はコンセントから使う電気の量で、表記は会社ごとに違います。「消費電力」「定格消費電力」という呼び名の違いや、最大値と火力の段の最大が一致しない型番があります
  • どちらの数字も「鍋に届いた熱」ではないため、WとkWを並べて火力の強弱を決めることはできません。選ぶときは「使える鍋」「ボンベ1本で何分か/コンセント(15Aを単独で)が取れるか」のように、使う場面の条件で見ます
  • 結論編の推薦(カセットこんろ・卓上IHそれぞれの第1・第2)は、この記事で変えていません。

注記:数字の条件

  • 「kW」「kcal/h」は各製品ページ・取扱説明書の表記をそのまま使っています。独自に単位換算をし直した数字はありません
  • 連続燃焼時間・オートオフの時間は各社の製品ページ・取扱説明書に書かれた条件(気温20〜25℃、最後のボタン操作からの経過時間など)つきの数値です
  • マクスゼンMIHS-TI140D(2口)の合計消費電力の上限は今回未確認のため書いていません
  • 価格、熱効率(変換効率の割合)はこの記事では扱っていません

出典(2026年9月26日に当サイトが確認)

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