入浴前に脱衣所を暖める|消費者庁の5つの注意点と、暖房器具のどこを見るか

消費者庁の入浴事故注意喚起(2020年11月19日公表)の5つの注意点を縦に並べ、(1)「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう」だけを色で囲み「家電が関われるのはここだけ」と示した図。残る4つ(湯温41度以下・急に立ち上がらない・食後や飲酒後や医薬品服用後は避ける・同居者に一声)は家電では変わらないことをグレーで並べて示す 暖房器具

「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。」——この一文を書いているのは、家電メーカーでも家電の比較サイトでもなく、消費者庁です。2020年11月19日に公表された注意喚起の、5つある注意点の1番目にあります。この記事は、その公表資料に何がどう書かれているのかを、最初から最後まで読んで並べたものです。あわせて、暖房器具のカタログで自分は何を見ればいいのかを、型番を1つも出さずに書きます。

この記事に商品の広告リンクはありません。特定の機種・メーカーも一切おすすめしません。脱衣所を暖める器具は、事故の話と地続きの買い物です。当サイトは、公的機関が書いていることと、書いていないことの境目だけをお伝えします。

先に3行で

  • 消費者庁の注意点は5つで、その1番目が「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。」です。残る4つ(湯温・立ち上がり方・食後や飲酒後・声かけ)は家電では何もできません。器具を買っても、やることは5分の4残ります
  • 暖房器具のカタログで確かめるとよいのは「転倒したときに切れる仕組み」「切り忘れ停止の時間」「目標の室温を数字で決められるか」「置き場所に入る寸法」「消費電力(W)」の5つ。ただし当サイトが4社の製品ページを開いて数えたところ、運転音は7機種のうち2機種、保証年数は2機種、目標室温は3機種しか公表していませんでした「書かれていない項目がある」と知っておくのが先です
  • 脱衣所は洗濯物を掛ける場所です。NITE(製品評価技術基盤機構)の注意「洗濯物は乾かさない」が、ほかの部屋より強く当てはまります。電気ストーブで焦げた可燃物の例では「衣類・タオル(干していた洗濯物も含む)」が最多の121件でした

暖房器具シリーズ(全6本)/この記事はシリーズの外にある「場面別」の1本です。この記事は機種を選びません。機種の話は下の6本で扱います(いずれも準備中)

  1. 電気暖房器具はどれを選ぶ?4方式の違い(準備中)
  2. ダイニチの暖房器具の機能(準備中)
  3. コロナの暖房器具の機能(準備中)
  4. 電気ヒーター6社の人感センサー翻訳表(準備中)
  5. オイルヒーターの電気代は本当に高い?(準備中)
  6. 方式の段ごとに、どのメーカーかを言い切る(準備中)
消費者庁の入浴事故注意喚起(2020年11月19日公表)の5つの注意点を縦に並べ、(1)「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう」だけを色で囲み「家電が関われるのはここだけ」と示した図。残る4つ(湯温41度以下・急に立ち上がらない・食後や飲酒後や医薬品服用後は避ける・同居者に一声)は家電では変わらないことをグレーで並べて示す

この記事の材料

公的機関の記載は、消費者庁の公表資料(PDF・全6ページ・令和2年11月19日)NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の発表資料(PDF・全16ページ・2025年10月30日)を当サイトが直接ダウンロードし、本文からそのまま引用しています。電気料金の目安単価は全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)のQ&Aで確認しました。カタログの読み方の部分は、当サイトが2026年9月12日に家電メーカー4社の製品ページ9本を開いて数えた結果にもとづきます。

この記事には型番・機種名・価格が1つもありません。商品カードも広告リンクもありません。当サイトは実機を1台も持っていません。暖かさの体感・風の当たり方・音の感じ方は、この記事に1つも入っていません。

消費者庁が実際に書いていること(5つの注意点)

出どころは、消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!-自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-」(令和2年11月19日公表)です。注意点は次の5つです。以下は公表資料の本文からそのまま引用しています。

(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

(原文の(2)に付いている脚注番号「3」は省きました。)家電が関われるのは(1)だけです。器具を1台買っても、(2)〜(5)は何も変わりません。ここを書かずに商品だけを並べる記事が多いので、当サイトは先に書いておきます。

どのくらいの規模の話なのか(公表されている数字)

同じ資料には、厚生労働省「人口動態調査」をもとにした数字が載っています。資料の本文はこう書いています。

令和元年の家及び居住施設の浴槽における死亡者数は 4,900 人で、平成 20 年の 3,384 人と比較すると約 10 年間で約 1.5 倍に増加しています。

また、高齢者の不慮の溺死事故のうち71%が家及び居住施設の浴槽で起きています。ここでいう高齢者は、資料の脚注で「本資料では 65 歳以上を高齢者として集計を行った。」と定義されています。

月別では、1月が937人でピーク、次いで12月737人、11月458人、4月455人。いちばん少ない9月は98人です(令和元年・発生月が分かっている4,738件)。資料の本文は「高齢者の入浴中の事故は、1月をピークに 11 月~4月、特に冬季に多く発生しています」と書いています(原文の末尾に付いている「(図4)。」は省きました)。9月に読み始めるのは、早すぎません。

数字はここまでにします。当サイトは、この件数を器具を買う理由として使いません。資料が求めているのは「入浴習慣を見直すこと」で、そのうち家電に関係するのは5つのうち1つだけだからです。

令和元年・発生月が分かっている4,738件の月別死亡者数の棒グラフ(1月937・2月624・3月509・4月455・5月286・6月166・7月134・8月100・9月98・10月234・11月458・12月737)。11月〜4月の6か月だけ色を変えて表示

資料が(1)の根拠として挙げていること

注意点(1)には説明が付いています。当サイトが要約せず、そのまま引きます。

高齢になると血圧を正常に保つ機能が低下するため、寒暖差などで急激な血圧の変動があると、脳内の血流量が減り意識を失うことがあり、これが入浴中に起こると溺水事故につながると考えられています。

さらに、この資料には脚注が付いていて、そこに「暖めること」の効果が書かれています。ここは大事なので、脚注番号ごと引用します。

9 暮らし創造研究会 効果・効能研究部会によると、脱衣所・浴室を暖めることで、入浴時の最高血圧変動幅が小さくなり、入浴死が起こりにくくなる可能性が確認されています。http://kurashisozo.jp/result/index_03.html

つまり、「脱衣所や浴室を暖めると入浴死が起こりにくくなる可能性が確認されている」と、消費者庁の資料の脚注に書かれています。⛔ ただし書かれているのは「可能性が確認されています」までで、何度にすればよいか・どの器具を使えばよいかは、この資料のどこにも書かれていません。出どころも消費者庁自身の調査ではなく、暮らし創造研究会 効果・効能研究部会です。当サイトはこれを「暖めれば安全になる」とは読み替えません。

「18度未満」という数字の読み方

資料の(1)の説明には、次の1文もあります。

居間や脱衣所が 18 度未満の住宅では、湯温 42 度以上の”熱め入浴”が増加する、という研究結果(図6)もあります。

(原文の「研究結果」の直後に付いている脚注番号「10」は省きました。)この研究は、脚注で国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 中間報告会」と示されています。

この1文が言っているのは「18度未満だと熱め入浴が増える」であって、「18度以上にすれば事故が防げる」ではありません。間には「熱め入浴が減る」という段が一つあり、そこから先は資料に書かれていません。当サイトも、18度を安全の基準として扱いません。資料に出てくる室温の数字がこの「18度」だけである、という事実としてお読みください。

「ヒートショック」という言葉について

検索では「ヒートショック対策」という言葉がよく使われます。当サイトが公表資料の全6ページを機械で走査したところ、この語は4か所に出てきました。内訳は次のとおりです。

出てくる場所 公表資料の逐語 何を指しているか
本文
(3.高齢者の入浴中の事故を防ぐためのアドバイス)
さらに、寒さが厳しくなると温度差により事故のリスクが高まる可能性がありますので、気象予測情報からヒートショックのリスクの目安を示す「ヒートショック予報」等も参考にしながら、日々の対策を心がけましょう。 外部サービス「ヒートショック予報」の紹介(1文の中に語が2回出ます)
末尾の<関連サイトへのリンク>① ○日本気象協会 tenki.jp「ヒートショック予報」 リンク名
末尾の<関連サイトへのリンク>② 気象予測情報に基づく家の中でのヒートショックのリスクの目安が分かります。 上のリンクの説明文
末尾の<関連サイトへのリンク>③ ○STOP!ヒートショック リンク名

つまり4か所とも、外部サービスの名前か、その紹介の文脈です。消費者庁がこの資料の中で「ヒートショックとは何か」を症状や状態として定義している箇所は、当サイトには見つけられませんでした。当サイトも医学的な説明はしません。この記事で扱うのは、注意点(1)に書かれた「暖める」という行為と、そのための家電だけです。

浴室のほうについて、資料が挙げているのは器具ではありません

注意点(1)は「脱衣所や浴室を暖めましょう」です。浴室について、資料はこう書いています。

浴室に暖房設備がない場合は、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」、「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」などして、できるだけ浴室内を暖め、温度差が小さくなるように工夫しましょう。

資料が浴室について挙げているのは、器具ではなく、この2つの工夫だけです。お手持ちの暖房器具を浴室の中で使ってよいかどうかは、製品ごとに取扱説明書の指示が違います。当サイトは判定しません。また資料は「部屋間の温度差をなくすために居室だけでなく、家全体を暖かくすることが重要で、二重サッシにするなど、断熱化も有効です。」とも書いています。これは家電で解決する話ではありません。

カタログのどこを見ればよいか(型番なしの確認リスト)

ここからは、売り場や公式ページで読者ご自身が確かめられる項目を並べます。当サイトは機種を選びません。下の5項目を手元のメモに書き写して、気になった製品のページで1つずつ埋めていく、という使い方を想定しています。

公式ページで確かめる5項目

  1. 転倒したときに電源が切れる仕組みがあるか。呼び名はメーカーごとに違います(当サイトが開いた4社の製品ページでは、転倒オフスイッチ・対震自動停止装置など呼び方が分かれていました)。名前ではなく「倒れたら切れる」と書いてあるかを見ます。
  2. 切り忘れたときに止まるか。止まるなら何時間後か。当サイトが数えた範囲では5時間・8時間・23時間と幅がありました。⛔ 「人を検知するセンサーで運転しているあいだ」と「それ以外」で時間が変わる製品があります。どちらの時間なのかまで読んでください。
  3. 目標の室温を数字で決められるか。これは書いていない製品のほうが多い項目です(当サイトが開いた7機種のうち、目標室温を数字で公表していたのは3機種)。室温を数字で決めたいなら、まず「その数字が公式ページに書いてあるか」から確かめることになります。
  4. 置き場所に入る寸法か。公式ページは幅・奥行・高さで書いてあります。床が何cm×何cm取られるかは、幅と奥行を自分で掛ければ出ます。当サイトが床に置くタイプ6機種でそれを計算したところ、168.75cm²から403.0cm²まで、約2.4倍の開きがありました。洗濯機と洗面台のあいだしか空いていない場所では、ここが最初の関門です。
  5. 消費電力(W)はいくつか。「強」と「弱」で違います。⛔ 「弱」のワット数を書いていない製品があります。弱で使う時間が長いなら、そこが書かれているかどうかは効いてきます。
暖房器具の公式ページで確かめる5項目の書き込み用チェックリスト(①倒れたら切れるか ②切り忘れで止まるか・何時間後か ③目標室温を数字で決められるか ④幅×奥行は置き場所に入るか ⑤強と弱の消費電力W)。各項目の右に読者が書き込む空欄を配置。型番・メーカー名・商品画像なし

「畳数」は、そろえて比べられる数字ではありません

暖房器具には「◯畳まで」という表示があるものとないものがあります。当サイトが4社の製品ページを開いた範囲では、表示の根拠が2種類に分かれていました。一方は「暖房の適用床面積の目安は、一般社団法人日本電機工業会の統一基準によります。室内外温度差15℃以下の地区で、1畳=1.65㎡として(50Hzを基準)算出しています。」という書き方、もう一方は「暖房の目安は自社調べによるものです。室内外温度差15℃の地区で、1畳=1.65m²として(50Hzを基準)算出しています。」という書き方です。

業界の統一基準によるものと、自社調べのものが、同じ「◯畳」という形で並んでいます。さらに、畳数の表示そのものが無い製品もありました。だから「◯畳」を横に並べて比べることはできません。畳数表示がメーカーや前提でどう変わるかは、エアコンで同じ問題を扱っています → 「冷房6〜9畳」の6と9って何が違うの?エアコンの畳数表示の読み方

電気代は「単価」をそろえないと比べられません

公式ページには1時間あたりの電気代が書いてあることがあります。ところが、掛けている単価が同じではありません。当サイトが2026年9月12日に4社の製品ページを開いたところ、31円/kWh を使っているページと、27円/kWh を使っているページがありました。

31円/kWh のほうは、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が定めている目安単価です。同協議会のQ&Aは、こう書いています。

電力料金は、ご契約の小売電気事業者により異なります。そのため、家電公取協では、「電力取引報」(「経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会」公表)における全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値などに基づき、目安単価を算出しています。

なお、現在の目安単価は、令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です。

同じ1200Wの製品を1時間使ったとき、31円/kWh なら約37.2円、27円/kWh なら約32.4円になります(当サイトの計算:1200÷1000×1時間×単価)。差は約4.8円。これは製品の差ではなく、単価の差です。電気代の数字を比べるときに単価と条件をそろえる話は、冷蔵庫でも同じことを書いています → 冷蔵庫の年間電気代の読み方|省エネラベルの見方と「大型ほど安い」逆転の実データ

なお、脱衣所で使う時間は入浴の前後だけです。1時間あたりの数字が、そのまま毎日かかるわけではありません。自分で計算するなら 「W ÷ 1000 × 使う時間 × 単価」 で足ります。単価はご自身の検針票に書かれている数字を使うのがいちばん正確です。

同じ1200Wの暖房器具を1時間使ったときの電気代を単価別に示した棒グラフ。単価31円/kWhで約37.2円、単価27円/kWhで約32.4円、差は約4.8円。差は製品の性能ではなく掛けた単価の差であることと、計算式「W÷1000×時間×単価」を示す

脱衣所で使うときに、ほかの部屋より強く当てはまる注意

ここはすべて、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の発表資料「ストーブとの程よい距離感が大切です ~「電気」「石油」暖房器具の事故を防ぐ 4+1 のポイント~」(2025年10月30日公表)からの引用です。当サイトの意見は足しません。

洗濯物を掛けたまま使わない

資料の「【+1】暖房器具使用中の注意ポイント」は、こう書いています。

暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認する(洗濯物は乾かさない)。

暖房器具を使用するときは、壁や周囲の家具、衣類などから取扱説明書等で指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。

脱衣所は、洗濯物やタオルが暖房器具のすぐそばにある部屋です。資料には、NITEが2025年3月に19,297名を対象に実施したアンケートの結果として、電気ストーブで焦げた可燃物の例が挙げられており、「衣類・タオル(干していた洗濯物も含む)・・・121件」が最も多いと書かれています(次いで布団・毛布76件、着衣37件)。⛔ この数字はアンケートの自由記述を集計したもので、事故の件数そのものではありません。

なお、資料が「電気ストーブ」と呼んでいる範囲は、脚注に「電気ストーブにはハロゲンヒーター、パネルヒーターを含みます。」と定義されています。距離については「取扱説明書等で指定された距離」としか書かれておらず、資料自身が「※距離は製品によって異なります。」と注記しています。当サイトが「◯cm離してください」と数字を出すことはできません。

延長コード・たこ足配線

電気暖房器具を使用する前に、以下の点に注意して電源コードや電源プラグを確認してください。また、電気暖房器具は消費電力が大きいため、取扱説明書で延長コードの使用が禁止されていることがあります。延長コードを使用する場合は、接続した機器の消費電力の合計が延長コードの最大消費電力を超えないように注意しましょう。

点検ポイントの1番目は「電源コードや電源プラグが変形・破損していないか、コンセントがたこ足配線になっていないかを確認する。」です。脱衣所は、洗濯機やドライヤーと同じ場所で電気を使う部屋です。暖房器具は消費電力が大きく、1200Wの製品なら100Vで12A(当サイトの計算:1200÷100)を使います。延長コードを使ってよいか、同じコンセントで何を同時に使ってよいかは、それぞれの機器の取扱説明書で確かめてください。当サイトは、どのコンセントで何アンペアまで使えるかを判定しません。

転倒したときに切れるか

資料には、転倒時オフ機能についての脚注があります。

一般社団法人日本電機工業会の加盟メーカーでは 1996 年から順次転倒時オフ機能を追加しており、それ以前の製品では転倒時オフ機能がない場合があります。また、2017年7月に電気用品安全法が改正され、それ以降に製造された製品では、転倒した状態ではヒーターが加熱されません。

買う前に見るなら「倒れたら切れると書いてあるか」、いま使っている器具なら「製造年」が手がかりになります。資料は点検ポイントとして「転倒時オフ機能(転倒時オフスイッチ等)が正常に作動するか確認する。」を挙げています。当サイトは実機を持っていないため、作動のしかたを確かめていません。確認の手順は資料本文にあります。

いま使っている暖房器具が古い場合、年数の目安は別記事で扱っています → 「家電の寿命10年」は本当か|買い替えた世帯だけを数えた11品目の実データ

脱衣所の断面を抽象的なイラストで示し、NITE発表資料(2025年10月30日公表)の注意点3つを矢印で示した図。①洗濯物・タオルを掛けたまま使わない ②たこ足配線にしない・延長コードは取扱説明書を確認 ③壁や家具からの距離は取扱説明書の指定に従う(距離の数値は非表示)。商品名・型番・メーカー名・炎の絵はなし

器具を買わずにできること

0円でできること(すべて消費者庁の資料に書かれていること)

  • 浴室:「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」/「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」
  • 入浴の直前:資料は「また、血圧の変動を抑えるため、湯につかる前にかけ湯を入念に行いましょう。」と書いています
  • 注意点(2)〜(5):湯温41度以下・10分まで/浴槽から急に立ち上がらない/食後すぐ・飲酒後・医薬品服用後は避ける/入浴前に同居者へ一声

費用は0円です。注意点(2)〜(5)は器具を1台も買わずに今日から実行できます。この記事でいちばん確実なのは、正直に言えばそちらです。なお、部屋全体をエアコンで暖める側の話は、当サイトの別記事で6社をそろえて比べています → エアコンのメーカーはどこがいい? 6社を6畳用と14畳用でそろえて比較

器具を増やさなくてよい場合

買う前に確かめること

  • 脱衣所にすでに暖房設備がある。浴室暖房乾燥機がある、または脱衣所までエアコンの暖気が届いているなら、新しく1台増やす前にそちらで足りるかを確かめられます。
  • 脱衣所に専用のコンセントがない。先に電気工事の相談が要ります。器具を買ってから気づくと、返品の手間になります。当サイトは工事の可否を判定しません。
  • 家全体の断熱を検討している。消費者庁の資料は「家全体を暖かくすることが重要で、二重サッシにするなど、断熱化も有効です。」と書いています。そちらを進めるなら、器具1台の話は後回しにできます。
  • 洗濯物を干している場所しか置き場がない。NITEの「洗濯物は乾かさない」に正面からぶつかります。置き場所を先に作れるかを確かめてください。

逆に「こういう人は買うべきです」と当サイトが書くことはしません。消費者庁の資料自身が「入浴中の事故は、持病がない場合や前兆がない場合でも起こるおそれがあります。」と書いており、誰に必要で誰に不要かを当サイトが線引きできる材料を持っていないからです。

よくある質問

Q. 脱衣所用のヒーターは、浴室の中でも使えますか。
A. ⛔ 当サイトには判定できません。使ってよい場所は製品ごとに違うため、必ずその製品の取扱説明書の指示に従ってください。消費者庁の資料は、浴室については器具を挙げていません。浴室に暖房設備がない場合の工夫として「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」を挙げています。

Q. 脱衣所を暖めると、入浴中の事故は防げますか。
A. 消費者庁の資料の脚注には「脱衣所・浴室を暖めることで、入浴時の最高血圧変動幅が小さくなり、入浴死が起こりにくくなる可能性が確認されています」と書かれています(出どころは暮らし創造研究会 効果・効能研究部会)。⛔ ただし書かれているのは「可能性が確認されています」までで、「防げます」とは書かれていません。また何度にすればよいかも書かれていません。資料に出てくる室温の数字は「居間や脱衣所が 18 度未満の住宅では、湯温 42 度以上の”熱め入浴”が増加する」の18度だけで、これは安全の基準として示されたものではありません。当サイトが「◯度にすれば大丈夫」と言うことはできません。

Q. 人を検知するセンサーは、どの製品も同じ動き方をしますか。
A. まず呼び名が違います。当サイトが4社の製品ページを開いた範囲では、「人感センサー」「人センサー」「省エネセンサー」と3通りの呼び名がありました。動作として書かれていたのは、いずれも「人の動きを検知して自動でON/OFF」する形です。たとえば「人の動きを検知して自動でON/OFF。人の出入りが頻繁な場所などに便利です。」「人の動きを感知して自動でON/OFFする人感センサー搭載。」といった書き方です。⛔ ただし、説明の詳しさには差がありました。仕様表に「人センサー(切/入)」とだけ書かれていて、どう動くかの説明文を当サイトが見つけられなかったページもあります。止まるまでの時間の数え方も製品ごとに違います(例=「5時間オートオフ(人感センサー運転時は、待機状態で人の動きを12時間感知しないと運転停止)」)。⛔ 「人感センサー付き」という言葉だけでは、何がどうなるかは分かりません。公式ページの説明文まで読んでください。

Q. 脱衣所で洗濯物を乾かしながら使ってもいいですか。
A. NITEの資料は、暖房器具使用中の注意ポイントとして「暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認する(洗濯物は乾かさない)。」と書いています。距離については「取扱説明書等で指定された距離をとりましょう」とあり、資料自身が「距離は製品によって異なります」と注記しています。

Q. どの機種を買えばいいか教えてください。
A. ⛔ この記事では答えません。脱衣所を暖める話は、入浴中の事故という文脈と地続きです。当サイトはそこに商品の推薦を置かないと決めています(当サイトの紹介の方針)。代わりに、上の「公式ページで確かめる5項目」をお使いください。どれが自分に要る項目かは、置き場所と使い方で変わります。

まとめ

  • 「脱衣所を暖める」の出どころは、消費者庁の注意点5つのうちの1番目。⛔ 残る4つ(湯温41度以下・急に立ち上がらない・食後や飲酒後や医薬品服用後は避ける・同居者に一声)は、家電では何も変わりません。
  • 資料の脚注には「脱衣所・浴室を暖めることで、入浴時の最高血圧変動幅が小さくなり、入浴死が起こりにくくなる可能性が確認されています」と書かれています(出どころは暮らし創造研究会 効果・効能研究部会。原文の頭に付く「9 暮らし創造研究会 効果・効能研究部会によると、」は本文で引用ずみのため、ここでは省きました)。⛔ ただし「可能性」までで、何度にすればよいかは書かれていません。「18度未満だと熱め入浴が増える」という研究結果はありますが、18度は安全の基準ではありません。
  • カタログで確かめるのは①倒れたら切れるか ②切り忘れで止まるか(何時間後か)③目標室温を数字で決められるか ④幅×奥行が置き場所に入るか ⑤強と弱のWの5つ。⛔ ③は書いていない製品のほうが多い項目です。
  • 電気代の「1時間あたり◯円」は、掛けている単価が31円/kWhのページと27円/kWhのページがあります。単価をそろえずに比べないでください。自分で出すなら「W ÷ 1000 × 時間 × 単価」です。
  • 脱衣所では「洗濯物は乾かさない」(NITE)が、ほかの部屋より強く当てはまります。洗濯物・タオル・カーテンと器具の距離は、取扱説明書で指定された距離をとってください。距離は製品によって異なります。
  • 当サイトはこの記事で機種を推薦しません。器具を買わずにできること(かけ湯・シャワー給湯・湯温41度以下・10分まで)が、費用0円で今日からできる部分です。

注記:数字の条件

  • 設置面積(cm²)は公式の数値ではありません。当サイトが公式の幅と奥行を掛けた数です(本文の「168.75cm²から403.0cm²まで」も同じ計算による幅で、床に置くタイプ6機種を対象にしています。壁に掛けるタイプは床面積を取らないため、この幅に入れていません)。凸部・脚部・必要なすき間は含みません。
  • 消費電力とワット数は、断りのないかぎり50Hz の値です。60Hz で数字が変わる製品があります。
  • 電気代の目安単価は2種類(31円/kWh・27円/kWh)を実際に確認しました。31円/kWh は家電公取協が定める目安単価で、令和4年7月22日の改定値です。⛔ 実際の請求額はご契約の小売電気事業者によって異なります。
  • 「運転音は7機種のうち2機種、保証年数は2機種、目標室温は3機種」の母数は、当サイトが2026年9月12日に開いた家電メーカー4社・製品ページ9本に載っていた7機種です。市場にある製品すべてを数えたものではありません。
  • NITEのアンケート(焦げた可燃物の例)は、2025年3月に19,297名を対象に実施された自由記述の集計です。事故の発生件数ではなく、また特定の製品群に限った数字でもありません。
  • 消費者庁の死亡者数は、厚生労働省「人口動態調査」をもとに消費者庁が作成した令和元年の数字です。資料の脚注には「図4、図5については、厚生労働省「人口動態調査」調査票情報を利用して消費者庁で独自集計をしており、公表数値とは一致しない場合がある。」と書かれています(この脚注は図1〜図5をまとめて説明した1文の後半で、前半は図1・図2についての記述です)。
  • 「見つけられませんでした」は、公式の製品ページ・仕様ページで確認できなかったという意味です。その機能や数値が存在しないという意味ではありません。

出典(すべて2026年9月12日に開いて確認)

カタログの読み方の部分は、当サイトが2026年9月12日に家電メーカー4社の製品ページ9本を開いて数えた結果です。この記事では、どのメーカーのどの製品かは書きません。特定の機種に読者を誘導しないためです。当サイトは暖房器具の実機を1台も持っていません。使い方・設置場所・同時に使ってよい機器については、必ずお手元の製品の取扱説明書に従ってください。

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