「圧力IH」「可変圧力IH」「真空圧力IH」は何が違う? 8社の呼び名を1枚の表に

炊飯器

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「圧力IH」「可変圧力IH」「真空圧力IH」「多段階圧力」「土鍋圧力IH」「極うま強火IH」。8社の公式サイトを開いて加熱方式の呼び名を書き出したら、それだけで15個を超えました。どれが上位でどれが下位なのか、そもそも何が違うのか、名前を見ただけでは判断のしようがありません。

結論から書きます。加熱方式そのものは「マイコン → IH → 圧力IH」の3階建てで、各社の呼び名はこの3つのどれかに収まります(当サイトが収録した94機種の中で例外だったのは、バルミューダの蒸気炊飯1機種だけでした)。15個以上に見える名前は、この3つのどれかに各社が自社の工夫の名前をくっつけたものです。「可変圧力IH」も「真空圧力IH」も「多段階圧力」も、すべて圧力IHの一種です。

そのうえで、この記事でいちばん大事なことを先に書きます。同じ段に並べても「同じ機能」ではありません。いちばん差が大きいのが圧力の段で、日立は「加熱時に弁を閉じて、内釜内の圧力を最高1.5気圧まで上昇。」と気圧の数値まで書き、パナソニックは圧力を「急減圧バルブ」という部品の名前で説明し、東芝は圧力とは逆に空気を抜く「真空」を組み合わせています。やっていることが違うので、名前だけを見比べても比較になりません。

炊飯器の加熱方式を整理した結論図。加熱方式は圧力IH・IH(圧力なし)・マイコンの3階建てで、その中に各社の呼び名が入る。圧力IHの段には象印の圧力IH(炎舞炊き)、パナソニックの可変圧力IH(Wおどり炊き)、東芝の真空圧力IHと圧力IH、日立の圧力&スチームIHタイプと圧力IHタイプ、タイガーの土鍋圧力IH・多段階圧力・可変W圧力が並ぶ。IHの段には象印IH、パナソニックIH、東芝の真空IHとIH、三菱電機の本炭釜と炭炊釜(全機種が圧力なし)、タイガーの極うま強火IH、シャープIHが並ぶ。マイコンの段には象印・東芝・タイガー・シャープが並ぶ。どの段にも入らない例としてバルミューダの蒸気炊飯があり、圧力もIHも使わず保温機能もない
加熱方式は3階建て。その中の呼び名が8社でバラバラです。各社公式サイトの表記そのまま(2026年8月18日確認・出典は記事末尾)。

この記事で分かること

  • 8社の加熱方式の呼び名が、3つの段に整理できること(=翻訳表)
  • 「可変圧力IH」「真空圧力IH」「多段階圧力」はどれも圧力IHの一種で、上下の関係ではないこと
  • 「圧力IHが上位、IHが下位」という単純な階段ではないこと(圧力を使わない上位機が実在します)
  • 「◯◯があるのはこのメーカーだけ」を、どこまでなら言ってよいか(東芝の真空だけは、メーカー自身が条件つきで書いています)
  • 名前では決まらない3つ=電気代(5.5合39機種で年623円しか違わない)・置き場所(設置面積が1.50倍違う)・内釜の保証(1年〜6年)の実数

この記事の根拠について。当サイトはこれらの炊飯器を購入しておらず、1台も炊いて食べていません。したがって「どれがおいしいか」は書きません。書けるのは数字で分かることだけです。加熱方式の呼び名・機能の説明文・注記・寸法・年間消費電力量・保証年数はすべてメーカー公式ページに書かれているものだけで、2026年8月18日に8社の公式ページを実際に開いて確認し、94機種を1台ずつ表にしました(内訳=5.5合52機種・1升18機種・3〜4合24機種)。開いたページは記事末尾の「出典」に並べています。価格は変動するため、機種の比較には使いません(各社ともオープン価格で、当サイトは価格の一次情報を持っていないためです。ページ内の商品カードに表示される価格は販売店のものです)。

先にお断り:この記事に入っていないメーカーがあります

アイリスオーヤマは入っていません。公式のアイリスオーヤマの炊飯器一覧は開けたのですが、機種一覧があとから読み込まれる作りになっていて、型番を1つも取り出せませんでしたRC-KRC-ERC- の3通りの書き方でページ内を探して0件)。「アイリスオーヤマに該当する機種がない」という意味ではありません。当サイトが取れなかった、というだけです。取れ次第、この記事に足します。

なお、この記事が扱うのは「加熱方式の名前の読み解き方」だけです。同じ「名前がバラバラで比べられない」問題は洗濯機の機能名でもエアコンの内部クリーン機能でも起きています。

炊飯器の加熱方式は3階建て。呼び名を8社ぶん1枚の表にしました

炊飯器の加熱方式とは、内釜をどうやって加熱するかの仕組みのことです。大きくは3つで、下から順にマイコン(ヒーターで加熱する)→ IH(電磁誘導加熱)→ 圧力IH(IHに加えて内釜の中に圧力をかける)となります。この3語自体は、当サイトが開いた8社のうち複数の社が公式ページでそのまま使っていました(たとえば象印は自社のラインアップを「圧力IH」「IH」「マイコン」の3つに分けています)。ところが、各社がカタログの見出しに書く呼び名は、この3語のままではありません。また、8社すべてが3段をそろえているわけでもありません(日立は当サイトが収録した4機種すべてが圧力を使う機種で、三菱電機は逆に7機種すべてが圧力を使わない機種でした)。

しかも、段の数え方まで社によって違います。東芝は商品一覧の商品ごとの表記が「真空圧力IH/真空IH/圧力IH/IH/マイコン」の5通りで(絞り込みの「タイプを選択」では「真空IH・圧力IH」が1つにまとめられています)、日立は当サイトが収録した範囲では圧力を使う2種類だけです。各社の分類をそのまま横に並べても、段の高さがそろいません。

下の表が、この記事の中心です。セルの中身は各社公式ページの表記をそのまま写しています(言い換え・要約はしていません)。

メーカー いちばん上の呼び名 その下 圧力を使わない機種の呼び名 いちばん下
象印 圧力IH(炎舞炊き) 圧力IH IH マイコン
パナソニック 可変圧力IH(Wおどり炊き) 可変圧力IH(おどり炊き) IH (当サイトの収録範囲になし)
東芝 真空圧力IH 圧力IH 真空IH/IH マイコン
日立 圧力&スチームIHタイプ(最高1.5気圧) 圧力IHタイプ(最高1.3気圧) (該当機種なし) (該当機種なし)
三菱電機 本炭釜(IH。圧力を使わない) 炭炊釜(IH) 収録した7機種すべてが圧力なし (該当機種なし)
タイガー 土鍋圧力IH/多段階圧力 圧力IH/可変W圧力 極うま強火IH マイコン(全面加熱/釜包みヒーター)
シャープ IH IH マイコン
バルミューダ 蒸気炊飯(圧力もIHも使わない。3合の1機種のみ)

各社公式ページの表記そのまま(2026年8月18日確認・出典は記事末尾)。この表は「同じ列なら同じ機能」という意味ではありません。中身がどう違うかは、このあと順に説明します。「-」「該当機種なし」は、当サイトが収録した94機種の中に無かったという意味で、そのメーカーが出していないという意味ではありません(未収録の機種は記事末尾に書いています)。

まとめると、8社は同じ3つの段のどれかに機種を置いていますが、その段に付ける名前がほとんど共通していません。共通しているのは「IH」「マイコン」「圧力IH」という一般名詞だけで、各社が売りにしている呼び名(炎舞炊き・Wおどり炊き・真空圧力IH・圧力&スチーム・本炭釜・土鍋圧力IH)は、当サイトが確認した8社の中では、社をまたいで1つも重なりませんでした。

この表を使うときの3つの注意

  • 横に並んでいても、中身は同じではありません。とくに圧力の段は、圧力を変えることを名前に入れている社と、入れていない社と、蒸気を足す社が混ざっています
  • 「上の段ほど良い」ではありません。圧力を使わないことを売りにしている上位機が実在します(→ 3つめの見出し)
  • 空欄がないからといって「全機種にある」ではありません。搭載シリーズは各社の最新カタログでご確認ください

「可変圧力」「多段階圧力」「真空圧力」は、どれも圧力IHの一種です

圧力IHとは、炊いている間に内釜の中の圧力を上げる方式のことです。日立はこの仕組みを、部品の名前と数値を添えて説明しています。

加熱時に弁を閉じて、内釜内の圧力を最高1.5気圧まで上昇。

(日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM 圧騰甘み炊き」の図中の「圧力弁」に付く説明・2026年8月18日確認)

各社がこれに付けている名前は、「圧力をどう扱うか」のどこを売りにしたかで変わります。そこだけ分かってしまえば、名前の長さや順番に意味がないことも分かります。

名前(公式の表記) 使っているメーカー 名前に入れているのは
圧力IH 象印・東芝・タイガー(日立は「圧力IHタイプ」) 圧力をかけること
可変圧力IH パナソニック 圧力を変えること
多段階圧力/可変W圧力 タイガー 圧力を段階で変えること
真空圧力IH 東芝 圧力に加えて空気を抜くこと
圧力&スチームIHタイプ 日立 圧力に加えて蒸気を出すこと
土鍋圧力IH タイガー 圧力に加えて内なべの素材(土鍋)

各社公式ページの表記そのまま(2026年8月18日確認)。上から順に上位という意味ではありません。名前が長いほど高性能ということもありません。

パナソニックの「Wおどり炊き」は、圧力とIHの2つを足した名前です

パナソニックの上位機は「可変圧力IH(Wおどり炊き)」と表記されます。この「W」が何を指しているのかは、同社の図が一番はっきり説明しています。

パナソニック公式の図。「圧力とIH うまさ引き出すWのこだわり Wおどり炊き」の見出しの下に、独自技術として圧力側の「急減圧バルブ」とIH側の「高速交互対流IH」の2つが並び、その下に、Wおどり炊きは2つとも搭載、おどり炊きは急減圧バルブのみ、と対応関係が示されている
出典:パナソニック「おどり炊き」(2026年8月18日確認・改変なし)。「W」は圧力(急減圧バルブ)とIH(高速交互対流IH)の2つがそろっていることを指しています。

つまり「Wおどり炊き」と「おどり炊き」の差は、圧力の強さではなく、IH側の仕組みが付いているかどうかです。同社の比較表でも、炊き技の欄が上位機は「Wおどり炊き(急減圧バルブ・高速交互対流IH)」、その下の機種は「おどり炊き(急減圧バルブ)」と書き分けられています。店頭で「Wのほうが圧力が強いんですか」と聞くと話がかみ合わないのは、これが理由です。

日立は、圧力に蒸気を足しています。しかも気圧を数値で書いています

日立公式の断面図。炊飯器の中央に「最高1.5気圧」と表示され、圧力弁について「加熱時に弁を閉じて、内釜内の圧力を最高1.5気圧まで上昇。」、給水レスオートスチーマーについて「加熱時に蒸気を水分にしてためて、蒸らし時にふたヒーターで加熱し、スチームを発生。」と説明が付いている
出典:日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM 圧騰甘み炊き」(2026年8月18日確認・改変なし)。圧力の数値と、蒸気を作る部品の両方が1枚に描かれています。

炊飯時の気圧の数値を書いていたのは、当サイトが開いた範囲では日立と象印の2社でした。しかも書き方が違います。日立は「最高1.5気圧」と上限を書き、象印はNX-AB型の商品仕様に「1.0〜1.3気圧 ※2」と範囲で書いています(※2の中身は「メニューによってかかる圧力が異なります。」)。上限どうし・範囲どうしでなければ比べられないので、この2社の数字を並べても優劣は出ません。

残る6社については、「気圧」「MPa」「kPa」の3通りで各社の製品ページ・比較表・仕様ページを走査しましたが、炊飯時の圧力の数値は見つけられませんでした。これは「他社が公表していない」という意味ではなく、「当サイトが見つけられなかった」という意味です。なお、タイガーのページには「70〜80MPa」という数字がありますが、これは土鍋の素地の曲げ強度であって炊飯時の圧力ではありません。単位の付いた数字を見つけても、それが何を測ったものかまで読む必要があります。

日立の蒸気は炊いている間だけの話ではありません。保温にも使われていて、公式のラインアップには「スチーム保温40時間 ※「保温低」設定時」と書かれています。この※印が大事で、40時間はどんな設定でも出る数字ではありません。下位のRZ-Y100HJは同じ※付きで「保温24時間」です。

もう1つ、日立には設置に直結する売り文句があります。「蒸気がほとんど出ないから置き場所に困らない。」(蒸気カット)。当サイトが収録した日立4機種のうち上位3機種が「蒸気カット」、RZ-Y100HJが「蒸気セーブ」と書き分けられていました。ただし、この売り文句にも条件と注意が付いています。機能の説明ページの見出しは「炊飯中に蒸気がほとんど出ないから置き場所に困らない。」[蒸気カット*1]と*付きで(*1の中身は、特定の炊き方コース・水量で測った排出蒸気量の条件です)、同じページには「※全周おおわれたところに設置した状態で炊飯をしないでください。蒸気がこもることがあります。」という注意もあります。吊り戸棚の下に置く予定なら、売り文句の行と、この注意の行をセットでカタログで確かめてください。

ただし「蒸気セーブ」は日立だけの言葉ではありません。象印もNX-AB型の商品仕様に「蒸気セーブ(約80%カット)※4」と書いています(※4は測定条件の注記で、「蒸気量は抑えられますが、結露ややけどにご注意ください。」という注意も含みます)。同じ言葉を2社が使っているので、名前だけで「日立の機能だ」と判断すると外します。逆に言えば、蒸気を抑える機能を探すときは、この2つの言葉の両方で探す必要があります。

まとめると

「可変」「多段階」「W」「真空」「&スチーム」は、圧力IHという同じ段の中で、各社が「自分はここを工夫した」と言っている部分の名前です。段が違うわけではありません。名前を覚えるより、その名前が「圧力の話」なのか「IHの話」なのか「素材の話」なのかを見分けるほうが早く済みます。

「圧力IHが上位、IHが下位」という単純な階段ではありません

ここがこの記事でいちばん誤解されているところです。各社のラインアップの並び順を見ると、たしかに上のほうに圧力IHが多く置かれています。ですが「圧力を使わないこと」を売りにしている上位機が実在します。三菱電機は公式ページに、はっきりこう書いています。

お米本来のおいしさを引き出すために、「圧力をかけない」炊き方にこだわる三菱ジャー炊飯器。

(三菱電機「本炭釜 紬 NJ-BW10J」製品ページの案内文・2026年8月18日確認)

同社はこの1点だけを説明する専用ページまで用意しており、その見出しは「三菱は圧力をかけない!」です。本文はこう続きます。

日本古来のかまど炊きと同じように「圧力をかけない」炊き方にこだわるのも、米粒を崩さず、お米本来のおいしさを引き出せるから。

(三菱電機「かためで粒立つごはんを愛する人へ」・2026年8月18日確認)

圧力を使わない代わりに何をしているのかは、同社の図が説明しています。ふた・胴まわり・釜底の3方向から加熱する構成です。

三菱電機公式の断面図。炊飯器の内釜を上から「ふたヒーター」、側面から「胴周り4重ヒーター」、底から「釜底トリプルリングIH」の3方向で加熱している様子が描かれ、内釜の中では沸騰が続いている
出典:三菱電機「NJ-BW10J 炊飯技術」(2026年8月18日確認・改変なし)。ふたヒーター・胴周り4重ヒーター・釜底トリプルリングIHの3方向で加熱する構成です。

圧力を使わない機種は、三菱電機だけではありません。当サイトが収録した5.5合の52機種を1台ずつ数えたところ、20機種(38%)が圧力を使わない機種でした。しかもその中には、下位機種ではないものが混ざっています。

メーカー 5.5合で圧力を使わない機種 公式の呼び名
三菱電機 5機種すべて 本炭釜/炭炊釜(IH)
象印 5機種(11機種中) IH/マイコン
東芝 4機種(12機種中) 真空IH(RC-10RXB)/IH/マイコン
タイガー 3機種(10機種中) 極うま強火IH(JPW-J・JPW-K)/マイコン
パナソニック 1機種(8機種中) IH(SR-N210E)
シャープ 2機種(2機種中) IH(KS-HF10B)/KS-S10Jは公式で加熱方式の呼び名を確認できず
日立 0機種(4機種中)

当サイトが収録した5.5合52機種を、公式の加熱方式の表記で1台ずつ数えたもの(2026年8月18日確認)。「そのメーカーの全ラインアップ」ではなく、当サイトが収録できた範囲での数です。

東芝の「真空IH」とタイガーの「極うま強火IH」は、どちらも圧力を使わないことを名前に書いた機種です。「IH」とだけ書かれた下位機種と同じ扱いにすると読み違えます。圧力の有無は、ラインアップの上下とは別の軸です。

⚠️ 「圧力を使わないのは三菱だけ」は誤りです

よくある誤解ですが、上の表のとおり、7社中6社が圧力を使わない機種を持っています。さらに言えば、圧力を使う機種を1台も収録できなかったメーカーは、三菱電機のほかにシャープとバルミューダもありました(シャープの収録は6機種、バルミューダは蒸気炊飯の1機種のみです)。三菱電機が他社と違うのは「圧力を使わないこと自体を売り文句として公式に書いている」点であって、「圧力を使わないのが三菱だけ」ではありません。逆に、圧力を使わない機種を1台も収録できなかったのは日立だけでした。

バルミューダは、そもそも3段のどれにも入りません

バルミューダ The Gohan(K08A)は、圧力もIHも使いません。公式ページの説明はこうです。

外釜に入れた水を加熱することで発生する、蒸気の力で炊飯します。

(バルミューダ「BALMUDA The Gohan テクノロジー」・2026年8月18日確認)

面白いのは、他社と目指す方向が逆に見えることです。象印の炎舞炊きは「お米は勢いよく舞い上がり」と書き、パナソニックは「おどり炊き」という名前を付けています。お米を動かすことが売りです。ところがバルミューダは、同じページで「お米は、動かさない。」と見出しに書き、「お米を動かさず、じっくりと丁寧に炊きあげるので、お米の表面を傷つけることなく、粒立ちがよいごはんを作り出します。」と説明しています。どちらが正しいかを当サイトは判定できません(炊いて食べていないからです)。ですが「名前が違うだけ」どころか「目指しているものが逆向き」であることは、公式の文章から読み取れます。

バルミューダを検討する人が最初に知るべきこと:保温機能がありません

公式の製品仕様に「保温機能 なし」と明記されています(ほかに消費電力670W、製品寸法 幅242mm×奥行266mm×高さ219mm、本体重量約4.6kg、炊飯容量0.5〜3合)。炊いたごはんを保温しておきたい人には向きません。朝炊いて夜まで置いておく使い方を考えているなら、この1点で候補から外れます。

「◯◯があるのはこのメーカーだけ」は、どこまで言えるのか

ここまで名前の違いを見てきましたが、本当に1社しか使っていない名前もあります。ただし、当サイトが言えるのは「この名前を使っているのは、確認した8社の中では◯社だけ」までです。「他社にこの機能は無い」とは書けません。当サイトが開いたのは各社の公式サイトであって、カタログPDFや取扱説明書、そしてアイリスオーヤマの機種までは確認していないからです。

名前 使っているメーカー 当サイトがどこまで書けるか
真空(真空圧力IH・真空IH) 東芝 メーカー自身が条件つきで「東芝独自」と書いています(下記に原文と注記)
スチーム(圧力&スチームIHタイプ) 日立 他7社の製品ページに、圧力と組み合わせたこの呼び名は出てきませんでした(探した語=スチーム/蒸気。「蒸気」「スチーム」の語自体は象印・パナソニック・タイガーなども使っています)。ただし「蒸気を使う炊飯器は日立だけ」ではありません。バルミューダは蒸気そのもので炊いています
炎舞炊き 象印 同社のシリーズ名です。「対流をつくる工夫があるのは象印だけ」ではありません。パナソニックの「おどり炊き」「高速交互対流IH」が同じ行に並びます
本炭釜 三菱電機 内釜の素材の名前です。「圧力を使わないのは三菱だけ」ではありません(上の枠のとおり)
土鍋(土鍋圧力IH) タイガー 加熱方式の呼び名に「土鍋」を入れているのは、確認した8社ではタイガーだけでした。ただし「土鍋」という語そのものは他社も使っています——日立は自社の炊き方の説明で「土鍋釜の炊き上がりのような粒立ち」、三菱電機は内釜の耐衝撃性の説明で「一般の陶器や土鍋と同程度」と書いています。「土鍋という言葉を使っているのはタイガーだけ」ではありません。なお、タイガー自身が「土鍋釜」「遠赤9層土鍋かまどコート釜」のように、素材そのものと表面のコートの両方に同じ語を使っています。「土鍋」と書いてあれば本物の土鍋、とは限りません
蒸気炊飯 バルミューダ 当サイトが収録した94機種の中では、3つの段のどれにも入らないのはこの1機種だけでした(圧力もIHも使いませんが、ヒーターで加熱するマイコン機とも別です)
気圧の数値(1.5気圧・1.3気圧/1.0〜1.3気圧) 日立・象印 数値を書いていたのは、確認した8社では日立と象印の2社まで、です。しかも日立は上限、象印は範囲で書き方が違うので、そのまま比べられません。「他社の圧力が弱い」という意味ではありません(残る6社の気圧を当サイトは確認できていません)

唯一、メーカー自身が「うちだけ」と書いている例

東芝の真空技術だけは、メーカー自身が公式ページにそう書いています。ただし、その一文には範囲を限る注記が付いています。注記まで含めて読むのが正しい読み方です。

東芝公式の図。左に「真空αテクノロジー」のロゴと「α(アルファ)化とは お米の主成分であるでんぷん質が水と熱の力でやわらかく粘りのある状態に変化することを、α化といいます。」の説明、右に金色の丸いバッジで「東芝独自* 真空技術」と書かれ、その横に「*2026年3月1日現在、国内家庭用100Vジャー炊飯器において、内釜内を真空にし、圧力差で吸水させる技術。」という注記が付いている
出典:東芝ライフスタイル「ジャー炊飯器 商品特長 真空水で炊く」(2026年8月18日確認・改変なし)。「東芝独自」には*が付いていて、その中身が右側の注記です。

この注記が意味していること

  • 時点は2026年3月1日現在です。以後に他社が出す製品まで含んだ話ではありません
  • 範囲は「国内家庭用100Vジャー炊飯器において」に限られています
  • 「独自」と言っている中身は「内釜内を真空にし、圧力差で吸水させる技術」という、かなり具体的な仕組みです。「吸水に工夫をしているのは東芝だけ」という意味ではありません——三菱電機は吸水の工程に「本炭吸水」「超音波吸水」という名前を付けており、同社の比較表では機種ごとにどちらかが書かれています

真空が実際に何をしているのかは、東芝の別の図がいちばん分かりやすく描いています。

東芝公式の4コマの図。左端に炊飯器の断面(真空ポンプで内釜の空気を抜くイメージ)が置かれ、続いて米粒のイラストが4つ並び、それぞれに「お米と水の空気を抜いて」「水を芯まで浸み込ませ」「芯まで高温で加熱すると」「ふっくら輝くごはんに」と説明が付いている
出典:東芝ライフスタイル「ジャー炊飯器 商品特長 真空水で炊く」(2026年8月18日確認・改変なし)。圧力をかける前に、逆に空気を抜いて吸水させる工程です。

公式の説明文は「搭載している真空ポンプで内釜の中を真空にし、圧力差でお米の芯までたっぷり吸水させます。」です。つまり「真空圧力IH」の「真空」は、炊いている最中の話ではなく、炊く前の吸水と、炊いたあとの保温の話です。「圧力IHをさらに強くしたもの」と読むと、方向が違います。

⚠️ 東芝の真空保温を狙うなら、必ず読む注記があります

公式の注記は「※1 「エコ炊飯」選択時は、予約炊飯セット時と保温中は真空ポンプが作動しません。保温時間は12時間までです。メニューによって異なります。」です。省エネを優先する「エコ炊飯」を選ぶと、真空保温は働かず、保温は12時間までになります。白米最大40時間という数字は、エコ炊飯を選んでいないときの話です。なお同じページには「上記は真空圧力IHタイプRC-10ZWAの機能を中心に紹介しています。」とも書かれており、東芝の全機種の話ではありません。

象印の「炎舞炊き」は、加熱方式の名前ではありません

ここも間違えやすいところです。「炎舞炊き」は象印のシリーズ名で、加熱方式そのものの呼び名ではありません。象印の公式ラインアップは、加熱方式を「圧力IH」「IH」「マイコン」の3つで分類しており、炎舞炊きシリーズの機種は、その分類ではすべて「圧力IH」に入っていました。公式の説明はこうです。

かまどの炎のゆらぎをヒントに、部分的な集中加熱を繰り返す独自の炊飯方法を確立。お米は勢いよく舞い上がり、一粒一粒までふっくら炊き上げる。

(象印マホービン「炎舞炊き NX-AB型」・2026年8月18日確認)

象印公式の断面イメージ図。内釜の中で米と水が渦を巻いており、オレンジ色の太い矢印で「横方向の対流を生み出す」「縦方向の対流を生み出す」の2方向が示されている。釜底には複数のIHヒーターが赤く光って描かれている
出典:象印マホービン「炎舞炊きについて(NX-AB型)」(2026年8月18日確認・改変なし)。「3DローテーションIH構造」として、縦と横の2方向の対流を作ると説明されています。

大事なのは、炎舞炊きシリーズが最上位の1機種だけではないことです。象印の公式ラインアップでは、5.5合のNX-AB10とNW-NC10のほかに、4合のNW-UU07も炎舞炊きシリーズに入っています。一方で、炎舞炊きではない「豪熱大火力」シリーズにも圧力IHの機種があります(NW-WD・NW-BB・NW-BC・NW-YD・NW-MC)。「炎舞炊き=圧力IH、それ以外=IH」ではありません。シリーズ名と加熱方式は別の軸です。

まとめると

「うちだけ」と言えるのは、たいてい名前についてだけです。唯一メーカー自身が条件つきで書いているのが東芝の真空技術で、その注記は「2026年3月1日現在、国内家庭用100Vジャー炊飯器において、内釜内を真空にし、圧力差で吸水させる技術。」=時点と範囲と仕組みの3つで区切られています。この形の注記を見つけたら、注記まで含めて読んでください。注記を落として引用すると、書いた側の断定に変わってしまいます。

名前で決まらないこと① 電気代は、5.5合の39機種で年623円しか違いません

加熱方式の名前を追いかけていると、「圧力IHは電気を食いそう」という印象がわいてきます。実際の数字は逆でした。

当サイトが収録した5.5合52機種のうち、年間消費電力量を公表していた39機種を、少ない順に並べたのが下の図です。

炊飯器5.5合39機種の年間消費電力量を少ない順に並べた横棒グラフ。棒の色は加熱方式で、圧力IHが青、IHが黄、マイコンが灰色。最小は象印NW-NC10の76.5kWh(圧力IH)、次いで象印NW-WD10の77.0、NW-BB10とNW-BC10の77.1、NW-YD10の77.2と、上位5機種はすべて象印の圧力IH機。最大は東芝RC-10BHWの96.6kWhで圧力を使わないIH機。色は少ない側にも多い側にも混ざっており、加熱方式と電気の使用量が対応していないことが分かる
色がきれいな層になっていません。=加熱方式と電気の使用量が対応していないということです。各社公式サイトの数値(2026年8月18日確認・出典は記事末尾)。
  機種(加熱方式)
いちばん少ない 76.5 kWh/年 象印 NW-NC10(圧力IH・炎舞炊き=上位機
いちばん多い 96.6 kWh/年 東芝 RC-10BHW(IH=圧力を使わない機種
20.1 kWh/年(26%) 電力量料金31円/kWh 換算で 年およそ623円

当サイトが収録した5.5合52機種のうち、年間消費電力量を公表していた39機種の範囲(2026年8月18日確認)。パナソニックと三菱電機は年間消費電力量を公表しておらず、この39機種に含まれていません(「年間消費電力量」「kWh」「省エネ」「消費電力」の4つの言い方で製品ページと比較表の両方を探して見つけられませんでした)。

読み取れることは3つあります。

  • いちばん電気を使わない5機種は、すべて象印の圧力IH機でした(76.5/77.0/77.1/77.1/77.2)。6位はタイガーのマイコン機JBH-Gの79.0です
  • いちばん電気を使ったのは、圧力を使わないIH機(東芝 RC-10BHW・96.6)でした。上位4機種は東芝のIH機2台とタイガーの圧力IH機2台です
  • 象印の最上位NX-AB10(本体8.0kgのいちばん重い機種)でも81.3kWhで、東芝の下位IH機より15.3kWh少ない数字でした

まとめると

「高い機種ほど電気を食う」は成り立ちません。むしろ逆の並びでした。そしていちばん多い機種といちばん少ない機種で年623円です。1日あたり1.7円。電気代は、炊飯器を選ぶ決め手にはなりません。「省エネモデルだからお得」という売り文句を見かけたら、この623円を思い出してください。

この数字を他所で使うときの注意

  • 各社とも「エコ炊飯(省エネ)メニュー」での測定値です。ふだんの炊き方での消費量ではありません
  • 省エネ法の区分が違う機種どうしを直接比べると誤解を招きます(当サイトが確認できた区分はA〜D)。上の39機種はすべて5.5合クラスで、区分はおおむねBです(1升は区分D、3.5合は区分Aで、数字の水準が変わります)
  • 「1回あたりの炊飯時消費電力量」で社をまたいで比べないでください。東芝は「エコ炊飯」と「匠炊き ふつう」の2つを併記しており、三菱電機も機種によって「白米 エコ炊飯」と「白米 ふつう」が混在しています。測っている条件が違います

名前で決まらないこと② 置き場所は、同じ5.5合で1.50倍違います

加熱方式が同じでも、本体の大きさはまったくそろっていません。5.5合52機種の実寸を並べると、こうなります。

  最小 最大 倍率
23.0cm(象印 NV-KA10) 29.0cm(タイガー JRL-A) 1.26倍
奥行 29.3cm(三菱 NJ-VW10J ほか2機種) 38.0cm(タイガー JPV-L/JPV-M) 1.30倍
設置面積(幅×奥行) 694cm²(三菱 NJ-VW10J/NJ-VP10J/NJ-VS10J) 1,042cm²(タイガー JRT-A) 1.50倍
質量 3.0kg(タイガー JBH-G) 8.0kg(象印 NX-AB10) 2.67倍

当サイトが収録した5.5合52機種の範囲(2026年8月18日確認)。質量は、公表を確認できなかった1機種(東芝 RC-10AMX)を除く51機種で数えています。

ここに、幅だけを測って買いに行った人が外す落とし穴があります。

炊飯器5.5合52機種の本体寸法の散布図。横軸が幅22〜30cm、縦軸が奥行28〜39cm。メーカーごとに色分けした点が散らばり、設置面積が同じになる700・800・900・1000平方センチメートルの曲線が斜めに引かれている。象印NV-KA10は幅23.0センチで最も狭いが奥行35.0センチで面積805平方センチメートル。三菱NJ-VW10Jは幅23.7センチと7ミリ広いが奥行29.3センチで面積694平方センチメートルと、こちらのほうが狭い
幅がいちばん狭い機種が、いちばん省スペースとは限りません。各社公式サイトの寸法(2026年8月18日確認・出典は記事末尾)。
  • 象印 NV-KA10幅23.0cmで52機種中いちばん狭いのですが、奥行が35.0cmあり、面積は805cm²です
  • 三菱 NJ-VW10J は幅23.7cm(NV-KA10より7mm広い)ですが、奥行が29.3cmなので、面積は694cm²です
  • =幅だけで選ぶと、実際には111cm²広い機種を選ぶことになります。7mmの差を気にして、5.7cmの差を見落とす形です

まとめると

炊飯器は「幅」ではなく「幅×奥行」で測ってください。そしてふたを開けたときの高さも別に要ります(当サイトが数値を取れた29機種の範囲では40.5cm〜48.6cm)。吊り戸棚の下や引き出し式のスライド棚に置くなら、閉じた状態の高さだけを測ると必ず外します。置き場所の制約が強い人にとっては、加熱方式より先に見るべき数字です。

名前で決まらないこと③ 内釜の保証は、1年から6年まで開いています

内釜(内なべ)は、本体より先に寿命が来る消耗部品です。コートがはがれたら買い替えになりますが、その保証年数が社によってまったく違いました。

内釜コートの保証年数を1年・3年・5年・6年の4段の階段で示した図。1年は象印とタイガーの一部機種、3年は象印の多くの機種・パナソニック(コートの種類が3種類)・三菱電機の全機種・タイガーの多くの機種、5年は象印NX-AB10・パナソニックのプレミアムコート・タイガーJRT-AとJRX-S、6年は日立RZ-W100JM・RZ-Z100JM・RZ-V100KM。下段には、タイガーの土鍋の機種は割れも保証する一方、三菱電機は内釜の割れ・ヒビ・欠けが保証期間内でも有料と明記していることが対比されている
確認できた5社の中でいちばん長いのは日立の6年でした。各社公式サイトの記載(2026年8月18日確認・出典は記事末尾)。

そして、この章でいちばん驚いたのはここです。「割れ」の扱いが社によって正反対でした。

メーカー 年数 「割れ」の扱い(公式の記載)
タイガー 1年/3年/5年 土鍋の機種は「割れ」も保証対象(JRT-A・JRX-Sが5年、JRL-Aが3年)
三菱電機 3年 内釜の割れ・ヒビ・欠け、内釜外面コートのはがれ等は保証期間内でも「有料」となります。
日立 カーボンフッ素6年(RZ-W100JM・RZ-Z100JM・RZ-V100KM) 当サイトが開いたページでは確認できませんでした
パナソニック 5年(遠赤ダイヤモンドプレミアムコート)/3年(ハードコート系。コートの種類が3種類) 公式が有料としているのは使い方に関する3項目(一般家庭用以外での使用・取扱説明書に記載した用途以外での使用・記載事項を守らなかったとき)で、割れについての記載は見当たりませんでした
象印 1年/3年/5年(5年はNX-AB10) 当サイトが開いたページでは確認できませんでした
東芝・シャープ・バルミューダ 内釜の保証年数を確認できませんでした(探した語=保証・年)。バルミューダの「保証期間 お買い上げ日から1年間」は本体の保証で、内釜についての記載ではありません

土鍋(タイガー)と本炭釜(三菱電機)は、どちらも「割れそうな素材」を看板にしています。それなのに保証の向きが逆です。タイガーは公式ページで、こう書いています。

タイガー公式の画像。左に「土鍋釜」と金文字で入った黒い内なべの写真、右に金枠のバッジで「割れにくい土鍋釜」「内なべ 5年保証」「割れ保証」「内面コーティング保証」と4行で書かれている
出典:タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRT-A デザイン・操作性」(2026年8月18日確認・改変なし)。同社の製品トップページ(JRT-A100)の本文は「内なべ(土鍋)は「割れ保証」と「内なべの内面コーティング保証」付きで毎日使っても安心です。」となっています。

タイガーは、割れを保証できる理由も数字で書いています。「一般の土鍋と比べて約2倍以上※の強度を実現。」とし、その※に「土鍋素地曲げ強度比較(当社調べ)土鍋釜70〜80MPa、一般ガス火対応の萬古焼土鍋 20〜40MPa」と添えています。ただし条件もあります。同じページには「※土鍋釜を故意に傷つけたり、割った場合や取扱説明書の記載事項にそわない使いかたをされた場合は対象外です。」と書かれています。「割れても必ず無償」ではありません。

一方、三菱電機は比較表の注記でこう書いています。

内釜内面コート(フッ素加工)の保証期間は、お買上げ日から3年間です。(取扱説明書の記載事項にそわない使い方をした場合は対象外となります。)内釜の割れ・ヒビ・欠け、内釜外面コートのはがれ等は保証期間内でも「有料」となります。

(三菱電機「ジャー炊飯器 製品を比較する」の注記※1・2026年8月18日確認)

まとめると

内釜の保証は、加熱方式の名前とはまったく関係のない軸で決まっています。年数を確認できた5社の中では日立の6年がいちばん長い数字でした。当サイトが収録した5.5合52機種で数えると、6年保証が3機種(すべて日立)、5年保証が4機種(象印1・パナソニック2・タイガー1)です。長く使うつもりなら、加熱方式の名前より先にこの行を見てください。ただし年数だけでなく、何が対象外かまで読むこと。3年でも割れが含まれるのと、5年でも割れが有料なのとでは、意味が変わります。

正直に書いておきます:この表から外した機種が1台あります

日立のもう1機種(RZ-Y100HJ)は、日立の公式ページどうしで内釜の保証年数の記載が食い違っていました。当サイトではどちらが正しいか判断できないため、この記事では年数を書きません。他の3機種(RZ-W100JM・RZ-Z100JM・RZ-V100KM)は、当サイトが開いた2か所の記載が一致していたので6年としています。

売り場とカタログでの読み方(3ステップ)

ここまでを、店頭で使える形にまとめます。覚えることは名前ではなく、確かめる順番です。

ステップ やること なぜ必要か(この記事で見た実例)
1. 名前を3段に置き直す その名前に「圧力」の2文字が入っているか、まず見る 「可変圧力IH」「多段階圧力」「真空圧力IH」「土鍋圧力IH」は全部おなじ圧力IHの段。名前の長さは段の高さではありません
2. 名前の残りが何の話かを見る 圧力の話か、IHの話か、素材の話か パナソニックの「W」はIH側の仕組みが付いているかどうか。タイガーの「土鍋」は内なべの素材。東芝の「真空」は吸水と保温の話で、炊いている最中の話ではありません
3. ※印を必ず読む 数字の横の※の中身を探す 日立のスチーム保温40時間は「保温低」設定時。東芝の真空保温はエコ炊飯を選ぶと働かず12時間まで。タイガーの約300度は4合・しゃっきり・火かげん強のときの内なべ外側底面の温度

3つめが、いちばん効きます。炊飯器のカタログは、数字のすぐ横に小さく条件が書かれています。たとえばタイガーの「約300度」には、こういう注記が付いていました。

※1 JRT-A100において、約300度、「白米」メニュー4合、炊きわけ「しゃっきり」、火かげん「強」炊飯時。内なべ外側底面の温度。(当社調べ)

(タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」製品ページの注記※1・2026年8月18日確認)

「300度でごはんが炊ける」わけではありません。この300度は内なべの外側の底の温度で、しかも特定のメニュー・炊きわけ・火かげんのときの数字です。※を読まずに数字だけ比べると、別のものを比べることになります。

店員さんに聞くなら、この3つ

  • 「これは圧力をかけるタイプですか、かけないタイプですか」(段を確かめる。名前だけでは分かりません)
  • 内釜の保証は何年で、割れたときは対象になりますか」(1年〜6年の差と、割れの扱いの差が両方分かります)
  • 蒸気は出ますか」(吊り戸棚の下に置くなら必須。日立は「蒸気カット」「蒸気セーブ」と書き分けています)

数字だけで選ぶなら、この3台になります

最初にお断りします。当サイトは炊飯器を1台も買っておらず、炊いて食べていません。ですから「おいしい順」は出せません。以下は公式が公表している数字だけで選んだ3台です。味の評価は入っていません。

置き場所がいちばん厳しい人 → 三菱電機 NJ-VS10J


  • 設置面積694cm²(幅23.7×奥行29.3cm)で、5.5合52機種の中で最小のグループ(同寸法がNJ-VW10J・NJ-VP10Jの2機種)
  • 質量4.8kg。棚から出し入れするなら軽いほうが楽です
  • 加熱方式は炭炊釜(IH。圧力を使わない)。ふたを開けたときの高さは43.9cm
  • 気になる点:三菱電機は年間消費電力量を公表していないので、電気の使用量を他社と並べて確かめられません。内釜の保証は3年で、割れ・ヒビ・欠けは保証期間内でも有料と公式に明記されています

ミニ結論:置き場所の制約がいちばん強い人向けです。幅だけで選ぶと、この機種より111cm²広い機種を選ぶことになります。

電気の使用量をいちばん抑えたい人 → 象印 NW-NC10


  • 年間消費電力量76.5kWh/年は、公表している39機種の中で最小でした
  • 加熱方式は圧力IH(炎舞炊きシリーズ)。いちばん省エネな機種が上位機だったという、この記事の結論そのままの1台です
  • 寸法は幅24.5×奥行33.0×高さ21.5cm(面積809cm²)、質量6.5kg、ふたを開けたときの高さ45.5cm
  • 気になる点いちばん電気を使う機種と比べても年623円の差です。省エネを理由にこの機種を選ぶのは、正直なところ割に合いません。内釜の保証は3年です

ミニ結論:「数字がいちばん良いものが欲しい」人向けです。電気代の節約が目的なら、この差額は判断材料になりません。

長く使うつもりの人 → 日立 RZ-W100JM


  • 内釜がカーボンフッ素6年保証。当サイトが年数を確認できた5社の中でいちばん長い数字でした
  • 加熱方式は圧力&スチームIHタイプ。炊飯時の気圧の数値(最高1.5気圧)を公表している2社のうちの1社です(もう1社は象印で、こちらは「1.0〜1.3気圧」と範囲で書いています)
  • 「蒸気カット」。公式の説明は「蒸気がほとんど出ないから置き場所に困らない。」で、吊り戸棚の下に置きたい人に効きます。ただし日立自身が「※全周おおわれたところに設置した状態で炊飯をしないでください。蒸気がこもることがあります。」とも書いています。寸法は幅24.8×奥行30.2×高さ23.4cm(面積749cm²)、質量6.0kg
  • 気になる点スチーム保温40時間は「保温低」設定時の数字です。また日立は当サイトが収録した4機種すべてが圧力を使う機種なので、「圧力なしがいい」と考えている人には選択肢がありません

ミニ結論:買い替えの間隔を長くしたい人向けです。内釜は本体より先に寿命が来る部品なので、6年と1年の差は実際の出費に効きます。

この3台に当てはまらない人へ

  • 一人暮らしで3合あれば足りる人:この記事の数字は5.5合の話です。3〜4合クラスは寸法も電気の使用量も別の水準になります(当サイトが収録した24機種では、いちばん小さいのは象印 NS-NH05の幅22.0×奥行25.5cm・1.9kg)
  • 保温しない人:バルミューダ The Gohan(K08A)は保温機能がありませんが、そのぶん割り切った作りです。炊いたらすぐ食べる・余りは冷凍する使い方なら候補になります
  • 圧力の音や扱いが気になる人:東芝は公式ページに「圧力タイプ炊飯器は内部が高圧になるため、取り扱いを誤ると危険です。取扱説明書をお読みになり、正しくお使いください。」と書いています。象印もほぼ同じ文を「圧力IH炊飯ジャーは内部が高圧になるため、」という書き出しで載せています。5.5合だけで、圧力を使わない機種は20機種ありますので、そちらから選ぶ手もあります

よくある質問

Q. 「可変圧力IH」は「圧力IH」より上位ですか?

A. 同じ圧力IHの段の中の呼び名で、上下の関係ではありません。パナソニックの「可変圧力IH」は、同社が圧力を変えることを名前に入れたものです。同じように、タイガーの「多段階圧力」「可変W圧力」、東芝の「真空圧力IH」、日立の「圧力&スチームIHタイプ」も、すべて圧力IHの一種です。ただし各社の中では、これらが上位機に付いていることが多いのは事実です(メーカーをまたぐと比較になりません)。

Q. 圧力IHのほうが電気代は高いですか?

A. いいえ。当サイトが数えた5.5合39機種では逆で、いちばん電気を使わない5機種はすべて象印の圧力IH機でした。そして最大と最小の差は年およそ623円(1日1.7円)です。電気代で機種を決める意味はほとんどありません。

Q. 真空炊飯があるのは東芝だけですか?

A. 東芝自身が「東芝独自」と書いていますが、*付きです。注記の全文は「*2026年3月1日現在、国内家庭用100Vジャー炊飯器において、内釜内を真空にし、圧力差で吸水させる技術。」で、時点・範囲・仕組みの3つで区切られています。また「吸水に工夫をしているのは東芝だけ」ではありません。三菱電機は吸水の工程に「本炭吸水」「超音波吸水」という名前を付けています。

Q. 圧力を使わないのは三菱電機だけですか?

A. いいえ。当サイトが収録した5.5合52機種のうち20機種(38%)が圧力を使わない機種で、7社中6社が持っていました。東芝の「真空IH」(RC-10RXB)、タイガーの「極うま強火IH」(JPW-J・JPW-K)、パナソニックのSR-N210Eなどが該当します。三菱電機が違うのは、「圧力をかけない」ことを公式に売り文句として書いている点です。なお、当サイトが収録した範囲では、シャープの6機種とバルミューダの1機種にも圧力を使う機種はありませんでした。

Q. どのメーカーがいちばんおいしく炊けますか?

A. 当サイトはこの質問に答えられません。炊飯器を1台も買っておらず、炊いて食べていないからです。実際に食べ比べた評価が欲しい方は、実食している媒体をご覧ください。当サイトが書けるのは、公式が公表している数字と説明文から分かることだけ——加熱方式の中身、寸法、質量、年間消費電力量、内釜の保証、そして各社が何を売りにしているか、です。

まとめ

  • 加熱方式は、大きく「マイコン → IH → 圧力IH」の3段に整理できます(例外はバルミューダの蒸気炊飯で、圧力もIHも使いません)。「可変圧力IH」「多段階圧力」「真空圧力IH」「土鍋圧力IH」「圧力&スチームIHタイプ」は、すべて圧力IHの段の中の呼び名で、上下の関係ではありません。
  • 同じ段に並べても「同じ機能」ではありません。パナソニックの「W」はIH側の仕組みの有無、東芝の「真空」は吸水と保温の話、日立の「&スチーム」は蒸気、タイガーの「土鍋」は内なべの素材——名前に入れているものが社ごとに違います。
  • 「圧力IHが上位」という単純な階段ではありません。5.5合52機種のうち20機種(38%)が圧力を使わない機種で、7社中6社が持っていました。三菱電機は「圧力をかけない」ことを公式の売り文句にしています。
  • 「うちだけ」と言えるのは、たいてい名前についてだけです。唯一メーカー自身が書いているのが東芝の真空技術で、その注記は「2026年3月1日現在、国内家庭用100Vジャー炊飯器において、内釜内を真空にし、圧力差で吸水させる技術。」=時点・範囲・仕組みの3つで区切られています。
  • 名前で決まらないものが3つあります。電気代(5.5合39機種で年623円しか違わない)、置き場所(設置面積が1.50倍・質量が2.67倍違う)、内釜の保証(1年〜6年で、割れの扱いが社によって正反対)。迷ったら、名前ではなくこの3つを見てください。

次にやること:気になっているメーカーのカタログを開いて、加熱方式の名前から「圧力」の2文字を探してください。あれば圧力IHの段、なければIHかマイコンの段です。それだけで、15個以上あった名前が3つに減ります。そのうえで、数字の横の※印を読んでください。この記事で見たとおり、40時間も300度も、条件つきの数字です。

置き場所で迷ったら、電子レンジの設置に必要なすきまをまとめた電子レンジは何cm空ければいい? 18機種の必要すきまを実寸での考え方がそのまま使えます。「メーカーごとに名前が違って比べられない」という問題は炊飯器だけではありません——洗濯機は洗濯機の機能名、5社で全部違う名前でした(翻訳表つき)、エアコンはダイキンの「水内部クリーン」と日立の「凍結洗浄」は同じもの?、電子レンジは電子レンジのタイプの選び方にまとめています。

出典(すべて2026年8月18日に確認)

  • 象印マホービン「炊飯ジャー 商品情報」(ラインアップ19機種の加熱方式の分類=圧力IH/IH/マイコン、シリーズ名)
  • 象印マホービン「炎舞炊き NX-AB型」(製品トップページ。「かまどの炎のゆらぎをヒントに」で始まる紹介文は、このページの見出し画像の記載です)
  • 象印マホービン「炎舞炊きについて(NX-AB型)」(炎舞炊きの説明、3DローテーションIH構造、縦横の対流)
  • 象印マホービン「炎舞炊き NX-AB型 商品仕様」(内釜5年保証、圧力タイプの注意書き、省エネ法の区分)
  • パナソニック「炊飯器 比較表」(加熱方式〈圧力〉〈IH〉〈加圧追い炊きポンプ〉の書き分け、内釜内面コートの種類、73銘柄/6銘柄、内釜の保証年数の注記)
  • パナソニック「おどり炊き」(Wおどり炊き=急減圧バルブ+高速交互対流IH、おどり炊き=急減圧バルブ)
  • 東芝ライフスタイル「ジャー炊飯器 商品一覧」(商品ごとのタイプ表記=真空圧力IH/真空IH/圧力IH/IH/マイコン、絞り込み「タイプを選択」の区分)
  • 東芝ライフスタイル「ジャー炊飯器 商品特長 真空水で炊く」(真空ひたし、東芝独自*の注記、真空保温40時間と※1の条件、RC-10ZWA中心である旨)
  • 日立「炊飯器(ラインアップ)」(最高1.5気圧/1.3気圧、蒸気カット・蒸気セーブ、カーボンフッ素6年保証・3年保証、スチーム保温40時間※「保温低」設定時)
  • 日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM」(「蒸気がほとんど出ないから置き場所に困らない。」の見出し。加熱方式の型式表記「圧力&スチームIHタイプ」「圧力IHタイプ」は、各機種の製品ページが表示する仕様の「型式」欄によります)
  • 日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM 蒸気カット」(見出し「炊飯中に蒸気がほとんど出ないから置き場所に困らない。」と蒸気カット*1の条件、全周おおわれたところに設置した状態で炊飯しないことの注意)
  • 日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM 圧騰甘み炊き」(圧力弁と給水レスオートスチーマーの説明図)
  • 三菱電機「ジャー炊飯器 製品を比較する」(現行7機種の仕様、本炭吸水/超音波吸水、銘柄芳潤炊き、内釜保証の注記※1、省エネ法の区分名)
  • 三菱電機「NJ-BW10J 炊飯技術」(ふたヒーター・胴周り4重ヒーター・釜底トリプルリングIHの図)
  • 三菱電機「かためで粒立つごはんを愛する人へ」(「圧力をかけない」炊き方にこだわる、の記載)
  • タイガー魔法瓶「ジャー炊飯器 比較表」(14系列の加熱方式の呼び名、寸法、質量)
  • タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」(土鍋圧力IHジャー炊飯器の表記、約300度と※1の条件)
  • タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRT-A デザイン・操作性」(内なべ5年保証=割れ保証と内面コーティング保証)
  • シャープ「炊飯器」(IH/マイコンの2分類、保温12時間)
  • バルミューダ「BALMUDA The Gohan スペックと使い方」(保温機能なし、消費電力670W、寸法、本体重量、保証期間1年)
  • バルミューダ「BALMUDA The Gohan テクノロジー」(二重釜構造、蒸気の力で炊飯、「お米は、動かさない。」)
  • アイリスオーヤマ「炊飯器」(ページは開けましたが、機種一覧から型番を取り出せませんでした

本記事の加熱方式の呼び名・引用文・注記・数値は、上記のページを当サイトが実際に開いて確認したものです。引用は原文どおりで、当サイトが語を足したり削ったりはしていません。原文に付いている※や*の記号も、消さずにそのまま残しています。ただし※の中身の全文までは写していない箇所があります(すべてを列挙したものではありません)。条件の全文は各出典のページでご確認ください。寸法・質量・年間消費電力量・保証年数は、当サイトが上記の公式ページから94機種ぶんを1台ずつ書き写した表にもとづいています(5.5合52機種・1升18機種・3〜4合24機種)。アイリスオーヤマの機種と、各社の一部の機種は収録できていません(象印 NW-SB10、パナソニック SR-A110D・SR-AX1・SR-KT060、東芝 RC-10SGW・RC-18RXB、タイガー KMD-A、三菱電機の旧型など)。したがって本記事の「最小」「最大」「◯機種中◯機種」は、すべて当サイトが収録した94機種の中での話です。加熱方式の呼び名や搭載シリーズは変更されることがあります。購入前には、必ず最新のカタログと取扱説明書でご確認ください。当サイトはこれらの炊飯器を購入・使用しておらず、味や食感の評価は行っていません。価格も機種の比較には使っていません(商品カードに表示される価格は販売店のものです)。

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