イヤホンの仕様表の読み方|「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は別の欄です

イヤホンの仕様表の読み方|「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は別の欄です イヤホン・ヘッドホン

仕様表で、周波数の数字が載る欄は1つではありません。オーディオテクニカの ATH-M50xBT2 の仕様表には周波数に関わる欄が4つあり、「ヘッドホン部」の区分に「再生周波数帯域」、「マイクロホン部」の区分に「周波数帯域」、「通信仕様」の区分に「使用周波数帯域」と「伝送帯域」があります。この記事では、ソニー・オーディオテクニカ・JVCケンウッド・パナソニック(Technics を含む)の4社22機種の公式の仕様表を当サイトが読み、機種ごとの欄のあり・なしを数えました。

先に3行で

  1. 「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は別の欄です。この記事で読んだ4社22機種のうち、「再生周波数帯域」の欄があるのは11機種、「伝送帯域」の欄があるのは12機種、両方あるのは6機種です(どれも22機種の中で)。
  2. 欄があるかどうかは、完全ワイヤレスかヘッドホンかでは決まらず、会社と機種で分かれます。ソニーの完全ワイヤレス3機種(WF-1000XM6・WF-C710N・LinkBuds Clip)の仕様表には、「再生周波数帯域」の欄がなく、「伝送帯域(A2DP)」の欄があります。「再生周波数帯域」の数値に「(JEITA)」を添えているのは、この22機種の中ではソニーの2機種です。
  3. 「伝送帯域」にある40,000Hzは条件つきの数値です。ソニー WF-1000XM6 は「20 Hz – 40,000 Hz (LDAC 96 kHz sampling 990 kbps)」で、LDAC・96 kHz・990 kbps のときの数値です。欄が違う40,000Hzと混ぜて比べないでください。

この記事の根拠

根拠にしたのは、4社の公式の製品ページと仕様ページ、総務省の「技適マークのQ&A」、NITE(製品評価技術基盤機構)の発表、JEITA の公式サイトです。確認日はすべて2026年10月1日です。当サイトは実機を持っておらず、音質・装着感・ノイズキャンセリングの効き方は比べていません。公式の文は「」でそのまま引き、全角・半角やスペースも原文のままです。取扱説明書は読んでいません。見つけられなかったものは、読んだページの範囲に見当たらなかったという意味です。

「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は別の欄です

周波数の欄は、名前と区分で見分ける

オーディオテクニカの「使用周波数帯域」の「2.4GHz帯」は、JVC の注に「2.4GHz帯の周波数を使用した無線機器です。」とあるとおり電波の帯の書き方で、音の数値ではありません。マイクロホン部の「周波数帯域」も別の欄です。ソニーの WH-1000XM6 と WH-CH730N は同じ数値を「再生周波数帯域」と「周波数特性」の2つの欄に載せていて、「再生周波数帯域」の欄ありとして数えました。Technics の2機種の「周波数帯域:2402 MHz~2480 MHz」は電波の範囲の行なので、どちらにも数えていません。

4社22機種で、欄のあり・なしを数えた

欄の名前が「再生周波数帯域」なら再生周波数帯域の欄あり、「伝送帯域」または「伝送帯域(A2DP)」なら伝送帯域の欄ありとして数えました。パナソニック RB-HF630B の「再生周波数帯域(A2DP)」は名前の違う欄として別に数えています。

「伝送帯域」の欄あり 「伝送帯域」の欄なし
「再生周波数帯域」の欄あり(11機種) 6機種:ソニー WH-1000XM6・WH-CH730N、オーディオテクニカ ATH-M50xBT2・ATH-AL5NC・ATH-CKS50TW2・ATH-TWX9MK2 5機種:オーディオテクニカ ATH-M50x、JVC HA-KD10W・HA-KS2・HA-RZ910・HA-A5T
別名の欄「再生周波数帯域(A2DP)」(1機種) 0機種 1機種:パナソニック RB-HF630B
「再生周波数帯域」の欄なし(10機種) 6機種:ソニー WH-CH530・WF-1000XM6・WF-C710N・LinkBuds Clip、オーディオテクニカ ATH-AC5TW、パナソニック RB-C10 4機種:JVC HA-XC62T・HA-XC90T、Technics EAH-AZ100・EAH-AZ40M2

6+5+1+6+4で22機種です。当サイトの分け方で、ヘッドバンド型(有線・無線)10機種と、充電ケースが付く完全ワイヤレス型(耳をふさがない型の3機種を含む)12機種に分けると、「再生周波数帯域」の欄があるのはヘッドバンド型で8機種、完全ワイヤレス型ではオーディオテクニカ ATH-CKS50TW2・ATH-TWX9MK2 と JVC HA-A5T の3機種だけです(完全ワイヤレス型12機種の中で)。JVCケンウッドの6機種の製品ページに「伝送帯域」という名前の欄は見つけられませんでした。

「伝送帯域」は、当サイトはこう読んでいます

「伝送帯域」は、ソニーでは「Bluetooth」の区分、オーディオテクニカでは「通信仕様」の区分に置かれています。当サイトは、これを Bluetooth で送る信号の範囲を示す欄と読んでいます。読んだ仕様ページにこの欄の意味を説明した文はなく、公式の定義ではありません。

名前だけでなく、置かれている区分も見てください。RB-HF630B の「再生周波数帯域(A2DP)」は「Bluetooth®」の区分にあり、同じ位置の欄が RB-C10 では「伝送帯域」です。当サイトは RB-HF630B を、「再生周波数帯域」の11機種には数えていません。

同じ40,000Hzでも、欄が違えば別の数値

機種 欄 数値
ソニー WH-1000XM6 「再生周波数帯域」 「4 Hz – 40,000 Hz (JEITA)」
ソニー WH-1000XM6 「伝送帯域(A2DP)」 「20 Hz-40,000 Hz(LDAC 96 kHz 990 kbpsサンプリング時)」
ソニー WF-1000XM6 「伝送帯域(A2DP)」のみ 「20 Hz – 40,000 Hz (LDAC 96 kHz sampling 990 kbps)」
オーディオテクニカ ATH-AL5NC 「再生周波数帯域」と「伝送帯域」 「20~40,000Hz」と「20~40,000Hz(LDAC 96kHz サンプリング、990kbps時)」

40,000Hzが「再生周波数帯域」に書かれているのは WH-1000XM6・ATH-AL5NC・ATH-TWX9MK2 の3機種(欄がある11機種の中で)、「伝送帯域」に LDAC・96kHz・990kbps の条件つきで書かれているのは WH-1000XM6・WF-1000XM6・ATH-M50xBT2・ATH-AL5NC の4機種(欄がある12機種の中で)です。WF-1000XM6 のように「再生周波数帯域」の欄がない機種の40,000Hzは、条件つきの「伝送帯域」の数値です。

欄のあり・なしを機種ごとに見たい人は、1本目『イヤホン・ヘッドホンの選び方|4社の公式仕様で、書いてある欄と書いていない欄を比べた』を、メーカー別に候補を見たい人は、6本目『形で選ぶイヤホン・ヘッドホンのおすすめ|完全ワイヤレス・ヘッドホン・有線・耳をふさがない型をメーカー別に』を読んでください。

「(JEITA)」が付く数値と、付かない数値

ソニーで「(JEITA)」が付くのは、WH-1000XM6「4 Hz – 40,000 Hz (JEITA)」と WH-CH730N「6 Hz – 20 000 Hz (JEITA)」の「再生周波数帯域」の数値です。読んだソニーの仕様ページに、どの測定方法を指すかの説明文はありませんでした。JEITA は「一般社団法人 電子情報技術産業協会」の略称です。

オーディオテクニカの5機種と JVC の4機種は、「再生周波数帯域」の数値に条件の表記が付いていません(欄がある9機種とも)。RB-HF630B は数値ではなく欄の名前に「(A2DP)」が付きます。Technics の2機種のページにも「JEITA」の語はありますが、注の中の語で、数値に添えたものではありません。

条件の表記が付く数値と付かない数値は、同じ列に並べて大小を比べないでください。

ほかの5つの数字も、条件を読む

ドライバー径は、形で桁が違う

径の数字は、仕様表または製品ページに径が書かれたヘッドバンド型の9機種では30mm(WH-1000XM6「30 mm」)から53mm(ATH-AL5NC「φ53mm」)、完全ワイヤレス型で径が1つの数字で書かれた11機種では5mm(WF-C710N「5mm」)から12mm(HA-XC90T「大口径12mmのドライバーユニット」)でした。ATH-AC5TW は縦横の「17×12mm」、HA-KD10W は径を見つけられませんでした。HA-KS2 は仕様表に欄がなく、製品ページの絵表示に口径30mmとあります。径の大小で音の良し悪しは決められません。

再生時間は、条件つき

ソニー WF-1000XM6 は「最大8時間 (NCオン) / 最大12時間 (NCオフ)」と、ノイズキャンセリングのオン・オフ別です。Technics EAH-AZ100 は「約10.0 時間(ノイズキャンセリングON、AAC)」「約7.0 時間(ノイズキャンセリングON、LDAC)」と、コーデックで時間が違います。付ける条件が会社で違うので、数字だけを並べて長さは比べられません。

質量は、何を含むかが違う

ソニー WF-1000XM6 は「約 6.5 g x 2 (イヤーピース(M)含む)」、JVC HA-A5T は「イヤホン:約3.9g(片耳) × 2個、充電ケース:約27.9g」と、数え方が違います。充電ケースが付く12機種のうち、仕様表にケースの質量があるのは9機種で、ない3機種はソニーの WF-1000XM6・WF-C710N・LinkBuds Clip です(12機種の中で)。

コーデックは、欄の語を見る

ソニーの仕様表は「対応コーデック」に「音声圧縮変換方式のこと」と注を付けています。LDAC の語が欄にあるのは、ソニー WH-1000XM6・WF-1000XM6、オーディオテクニカ ATH-M50xBT2・ATH-AL5NC、Technics EAH-AZ100・EAH-AZ40M2 の6機種です(欄がある無線の19機種の中で)。ソニーは「SBC, AAC, LDAC, LC3」、オーディオテクニカは「LDAC、AAC、SBC」と並べ方が違い、並びを優劣として読むことはできません。WH-1000XM6 の特長ページは LDAC を「LDAC対応機器との接続なら」と説明していて、相手の機器の対応も要ります。

防水は、「イヤホン本体のみ」を見る

オーディオテクニカ ATH-CKS50TW2 は「IP55(イヤホン本体のみ)」で、同じページの注に「音が出る部分は防水/防じん仕様ではありません。」とあります。パナソニック RB-C10 は「IPX4相当」、RB-HF630B は「防滴性能」の欄が「なし」です。ソニーの6機種は仕様ページに防水の欄がなく、完全ワイヤレス3機種(WF-1000XM6・WF-C710N・LinkBuds Clip)は製品ページの見出しに「IPX4の防滴性能(*)」とあります。

買う前に確かめること

①技適マーク(総務省の案内)

総務省の「技適マークのQ&A」は「イヤホン、スピーカー、マウス、キーボードなど、様々なBluetooth機器にも技適マークがついています。技適マークの付いてないBluetooth機器の使用は電波法違反となる恐れがあります。なお、充電ケース及び取扱説明書に表示している機器もあります。」と案内しています。別の回答には「購入しようとする無線機に技適マークが付いているかどうかをご確認下さい。」とあります。当サイトは、個別の商品の技適マークの有無を判定していません。

②リチウムイオン電池(NITE の注意喚起)

NITE は2025年6月26日の発表で「2020年から2024年までの5年間にNITE(ナイト)に通知された製品事故情報※1では、「リチウムイオン電池搭載製品」の事故※2は1860件ありました。」と公表しています。この1860件は「リチウムイオン電池搭載製品」全体の件数で、イヤホン・ヘッドホンだけの件数ではありません。注記の※2には「事故件数の中には、調査中の事故や原因は特定されていないがリチウムイオン電池に起因した可能性があると推定される事故も含みます。」とあります。3つのポイントの1つ目「正しく購入する」には、「連絡先が確かなメーカーや販売店から購入する。」などが挙げられています。

この記事で決まらない人

形を決めていない人は、1本目『イヤホン・ヘッドホンの選び方|4社の公式仕様で、書いてある欄と書いていない欄を比べた』へ。メーカー別の候補を見たい人は、6本目『形で選ぶイヤホン・ヘッドホンのおすすめ|完全ワイヤレス・ヘッドホン・有線・耳をふさがない型をメーカー別に』へ。

デメリット・向いていない人

  • 仕様表の数字から、音は分かりません。音の好み、着け心地、ノイズキャンセリングの効き方は、当サイトも比べていません。
  • 読んだのは4社22機種です。欄がないとは、読んだページに書かれていなかったという意味で、性能が低いという意味ではありません。買う前に公式ページで確かめてください。
  • 周波数の数字だけで音を決めたい人には向きません。

よくある質問

「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は同じものですか?

別の欄です。オーディオテクニカ ATH-M50xBT2 では、「ヘッドホン部」の区分の「再生周波数帯域」が「15~28,000Hz」、「通信仕様」の区分の「伝送帯域」が「20~40,000Hz(LDAC 96kHz サンプリング、990kbps時)」などと、区分も数値も違います。

完全ワイヤレスには「再生周波数帯域」が書かれていないのですか?

会社と機種によります。完全ワイヤレス型12機種の中で欄があったのは、ATH-CKS50TW2・ATH-TWX9MK2・HA-A5T の3機種です。ソニーの完全ワイヤレス3機種には欄がなく、「伝送帯域(A2DP)」の欄があります。

数値のうしろの「(JEITA)」は何ですか?

JEITA は電子情報技術産業協会の略称で、この22機種の中では、ソニー WH-1000XM6 と WH-CH730N の「再生周波数帯域」の数値に付いていました。どの測定方法かの説明文は、読んだソニーの仕様ページにありませんでした。

まとめ:周波数の数字は、欄の名前と区分を見てから読む

4社22機種の中で、「再生周波数帯域」の欄があるのは11機種、「伝送帯域」の欄があるのは12機種、両方あるのは6機種で、形ではなく会社と機種で分かれます。「再生周波数帯域」に「(JEITA)」を添えているのはソニーの2機種だけです(この22機種の中で)。「伝送帯域」の40,000Hzは、LDAC・96kHz・990kbps の条件つきです。

イヤホン・ヘッドホンのシリーズ(全7本)

  1. イヤホン・ヘッドホンの選び方|4社の公式仕様で、書いてある欄と書いていない欄を比べた
  2. ソニーのイヤホン・ヘッドホンの機能を公式情報で解説|LDAC・ノイズキャンセリング・「(JEITA)」の意味
  3. オーディオテクニカのヘッドホン・イヤホンの機能を公式情報で解説|ATH-M50xの有線と無線の違い
  4. JVCケンウッドのイヤホン・ヘッドホンの機能を公式情報で解説|子ども向けの音量制限と重低音のXXシリーズ
  5. イヤホンの仕様表の読み方|「再生周波数帯域」と「伝送帯域」は別の欄です(この記事)
  6. 形で選ぶイヤホン・ヘッドホンのおすすめ|完全ワイヤレス・ヘッドホン・有線・耳をふさがない型をメーカー別に
  7. イヤホン・ヘッドホンの新製品(2026年8月〜9月発表)|ソニー・オーディオテクニカ・Victor・Technics

注記:数字の細かい条件

  • 「」の中は公式ページの表記のままです。複数行の数値は、行の間を半角の空白でつないでいます。
  • ヘッドバンド型と完全ワイヤレス型の分け方は当サイトの分け方です。耳をふさがない型のソニー LinkBuds Clip・オーディオテクニカ ATH-AC5TW・パナソニック RB-C10 は、完全ワイヤレス型に入れています。

出典

確認日はすべて2026年10月1日です。

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